1991 Fiscal Year Annual Research Report
糖切断酵素や糖転移酵素による細胞認識を阻害する擬似二糖の合成
Project/Area Number |
03236214
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
橋本 弘信 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (10016131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀戸 重臣 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (00190257)
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Keywords | 5ーチオピラノシド / 酵素阻害剤 / グリコシルトランスフェラ-ゼ |
Research Abstract |
糖切断酵素をタ-ゲットとした研究では、アルドピラノシドを出発原料にして効率よくかつ立体選択的に環酸素原子を硫黄原子に置換する方法を確立するとともに、5ーチオアルド-スを含む二糖の合成にも適用した。また、糖転酵素をタ-ゲットとした研究では、特定の水酸基を化学修飾したNーアセチルーDーグルコサミン残基を非還元末端に有する二糖を種々合成し、これらに対してガラクトシルトランスフェラ-ゼによる転移反応を調べ、はじめてガラクトシルトランスフェラ-ゼに対して阻害作用を有するグリコシル受容体アナログを見いだした。 1.アルドヘキソピラノシドから5ーチオピラノシドへの立体選択的変換 アルドヘキソピラノシドのジメチルポロンプロミドを用いる開環反応により遠られるOーメチル Sーアセチルモノチオアセタ-ルの硫黄原子を求核剤として立体選択的に閉環する方法として、5位の立体配置を反転または保持して閉環する方法をそれぞれ2種開発し、さらに擬似二糖5'ーチオイソマルトシドの合成に適用した。 2.修飾NーアセチルーDーグルコサミンを非還元末端に有するオリゴ糖の合成とそれらのガラクトシルトランスフェラ-ゼに対する作用 βー(1→4)ーガラクトシルトランスフェラ-ゼ(EC2.4.1.90)を用いる。メチルNーアセチルーβーDーグルコサミニド、その6ーデオキシ誘導体および3ーデオキシ誘導体に対するガラクトシル化反応から3,6位の修飾が受容体認識には大きな影響を与えないだろうことを予測し、3または6位の水酸基をフルオロおよびスルフヒドリル基で置換したNーアセチルーDーグルコサミンとメチルβーDーガラクトピラノシドがβー(1→3)結合した二糖を合成した。また、3'ーフルオロおよび6'ースルフヒドリル誘導体はガラクトシル転移反応を阻害することが明らかとなり、それぞれの阻害物質定数Kiは0.8および2.7mMで、阻害様式は拮抗型であることが判明した。
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[Publications] 橋本 弘信: "New and Facile Synthetic Routes to 5‐Thioaldohexopyranosides via Aldose Monothioacetal Derivatives" Tetrahedron Lett.32. 7087-7090 (1991)
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[Publications] 橋本 弘信: "A Facile Synthesis of 5‐Thio‐L‐fucose and 3‐Ο‐Allyl‐L‐fucose Triacetate from D‐arabinose" Chem.Lett.25-28 (1992)
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[Publications] 梶原 康宏: "Methyl 3‐Ο(2‐acetamido‐2‐deoxy‐6‐thio‐β‐D‐glucopyranosyl)‐β‐D‐galactopyranoside: a slowly reacting acceptor‐analog which inhibits glycosylation by UDPgalactose‐N‐acetyl‐D‐glucosamine (1→4)‐β‐D‐galactosyltransferase" Carbohydr.Res.