1991 Fiscal Year Annual Research Report
糖質を認識する生物活性発現機構の生物有機化学的研究と有用物質の合成
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03236237
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
竜田 邦明 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40051627)
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Keywords | グルコシダ-ゼ / 酸素阻害剤 / 擬似糖 / ニトリルオキシド / 環状付加反応 / アジリジン体 / 保護基 |
Research Abstract |
生物活性物質における糖質およびその類縁物質の存在意義については未知の部分が多く解明が待たれている。本研究は,まず,最高発見されたβーグルコシダ-ゼの強い阻害剤である天然物シクロフェリト-ル(1)に注目し,その活性発現機構を生物有機化学的に考察した。この1の構造はDーグルコ-スの環上の酸素原子が炭素原子に置換されたαーDーグルコ-スのカルバ聖である。本研究者らは既にム-グルコ-スから1の全合成を完了している。今年度は,1の効率のよい全合成法の開発と種々の類縁体の全合成を行い,それらの構造一活性相関を明らかにした。すなわち,ム-グルコ-スを原料にして得られる鍵中間体においてニトリルオキシドとオレフィンの分子内〔3+2〕環状付加反応を行うと,イソキサゾリンが得られた。これを弱酸性で還元して得られるアルコ-ルに我々が開発した新しいシリル系保護基,ジエチルイソプロピルシリル基を用いることにより、最終工程における脱保護が還元条件下で効率よく進行し1の全合成法が改良された。同様の合成法を用い,Dーガラクトシドを原料にして,1とエポキシ環の立体配置の異なる1,6ーエピ-シクロフェリト-ル(2)が合成された。また,同一の中間体を用い,エピ化させることなく還元した後,同様して,Cー2位の立体配置が異なるαーマンノ型の類縁体(3)を合成した。一方,2からアジド体を経て,1のエポキシ環がエビミノ環であるアジリジン体(4)を合成した。これらのうち,1と4はβーグルコシダ-ゼを強く阻害し,2と3はそれぞれαーグルコシダ-ゼとαーマンノシダ-ゼを特量的に阻害した。このことから,αとβーグリコシダ-ゼはCー1位の立体配置を認識していること,そして1〜4のすべての化合物は,相当する各種グリコシドのの拮抗剤として作用していることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kuniaki TATSUTA: "Enantiospecific Total Synthesis of a βーGlucosidase Inhibitor,Cyclophellitol." Tetrahedron Letters. 31. 1171-1172 (1990)
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[Publications] Kazunobu TOSHIMA: "The Selective Distinction of Dietmylisoprpylsilyl Ether in Hydrogenolysis." Tetrahedron Letters. 31. 6697-6698 (1990)
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[Publications] Kuniaki TATSUTA: "Enantiospecific Synthesis and Biological Evaluation of 1,6ーepiーCyclophellitol." Journal of Antibiotics. 44. 456-458 (1990)
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[Publications] Kuniaki TATSUTA: "Synthesis and Enzyme Inhibiting Activities of Cyclophellitol Analogs." Journal of Antibiotics. 44. 912-914 (1991)