1991 Fiscal Year Annual Research Report
金属人工格子におけるスピン偏極電子伝導と磁性に関する研究
Project/Area Number |
03240106
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
末澤 慶孝 帝京技術科学大学, 情報学部, 助教授 (30143738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角野 圭一 横浜国立大学, 工学部, 教授 (40017918)
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Keywords | 金属人工格子 / トンネル接合 / スピン偏極電子 / 磁気バルブ効果 / 巨大磁気抵抗効果 / 多層膜 / 強磁性薄膜 / 磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は,強磁性金属層と非磁性層とが交互に積層された人工格子において,スピン偏極した伝導電子を介する各層間相互作用およびそれが物性,特に磁性,に及ぼす効果について明らかにすることである。 そのため,このような人工格子の構成単位となる,Ni/Al_2O_3/Coトンネル接合およびNi/Co接合等の,膜面に垂直方向の電気伝導と強磁性金属層の磁化状態との関連を中心に,下記の如く詳細な実験を行なった。 II.試料の作製と磁気抵抗効果測定 Ni/Al_2O_3/Co,Ni/Al_2O_3/Ni,Ni/Co,Ni/Agなど各種接合試料を,タ-ボ分子ポンプを用いた高真空蒸着装置により清浄な真空中で作製した。Al_2O_3絶縁層は,薄く蒸着したAl薄膜を大気中酸化して形成した。上記試料の接合面に垂直方向の電流に関する磁気抵抗効果を調べた結果,Ni/Al_2O_3/Co等トンネル接合では磁気バルブ効果(トンネル・コンダクタンスが両強磁性金属の磁化の相対角度に依存する現象)が明瞭に認められ,我々のこれまでの実験結果を確認した。Ni/Co接合では,磁気バルブ効果に加え,Ni,Co層間の相互作用に起因する複雑な磁区構造とスピン偏極電子との関与を推定させる抵抗変化が新しく観測された。更に,Ni/Co接合自身の抵抗が微小なことと合わせて,Ni,Co膜面内の磁化の相対角度に依存した相対的な抵抗変化(ΔR/R)は16.4%にも達し,金属人工格子で最近注目されている巨大磁気抵抗効果との関連が示唆された。 2.装置の改良 現在エリプソメ-タに,本科学研究費補助金により電磁石(東洋磁気工業製特注,最大磁場15KOe)を導入した。これによって,M‐Hル-プ測定,磁区観察,磁気光学スペクトル測定(O.5〜1.1μm)等,各種精密磁気光学測定が可能となり,本研究を更に促進している。
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[Publications] Y.Suezawa,F.Takahashi,and Y.Gondo: "Spin‐polarized Electron Tunneling in Ni/Al_2O_3/Co Junction and Large Magneto‐resistance of Ni/Co Double‐layer" Japanese Journal of Applied physics.
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[Publications] 末澤 慶孝: "磁気トンネリング" 日本応用磁気学会誌. 16(4号). (1992)
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[Publications] 末澤 慶孝: "強磁性薄膜間のスピン偏極電子のトンネル効果" 日本応用磁気学会応用磁気研究会資料. MSJ72ー2. 9-14 (1991)