1991 Fiscal Year Annual Research Report
生体内遷移金属錯体の電子状態と機能発現に関する理論的研究
Project/Area Number |
03241202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 兆 北海道大学, 理学部, 教授 (80029537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂 武司 北海道大学, 理学部, 講師 (50125340)
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Keywords | 生体内遷移金属錯体 / 鉄一イオウクラスタ- / スピンフラストレ-ション / 反強磁性相互作用 |
Research Abstract |
Fe(III)およびFe(II)イオンを含む3Feー3Sおよび4Feー4S系におけるスピン相関は、ハ-トリ-・フォック(HF)レベルで考察した。HF法では、三重項不安定性条件を手がかりに最も安定な一般化HF(GHF)解を見つけることができた。たとえば、T_dあるいはD_<2d>対称性をもつ4Feー4Sクラスタ-の場合に可能なGHF解は最も一般的なスピン相関を示すhelical spin wave(HSW)型のものになることが三重項不安定性解析とそれに1:1対応をもつ磁性二重群論的考察により結論された。しかしながら、現在のところ、HSW解を求めるab initioプログラムは開発されておらず、数値的に各状態にエネルギ-差を示せる段階にはない。3Feー3Sクラスタ-もHSW解で表される基底状態を持ち、いわゆるスピンフラストレ-ションが重要であることが理解される。筆者らはバイオ素子の興味から、このくラスタ-を二次元平面化する提案や一次元カラムの可能性も提案した。 伝導電子(あるいはホ-ル)とスピンが共存する物質系は高温説電導および磁性金属の視点から大方興味深い。我々は二核テトラチオレ-ト錯体をab initio UHF法で検討しスピン状態間の相対エネルギ-と有効交換積分を求めた。遷移金属イオンを3価に表現されるが、実際にHF計算するとテトラチオレ-トリガンドからM(III)への一電子移動が生起し、2価に遷元されると同時にリガンドサイトにホ-ルが導入されることが判明した。スピン多重度間の相対安定性から判断して、スピン間には反強磁性的相互作用が働いていることが予想される。事実、J値は負になり高分子錯体はフェリ磁性金属(↑↓↓↑↓↓…)になる可能性があることが判明した。 以上のように、本研究では生体分子に見られる混合原子価錯体を導電性(超伝導性)および磁性の両面から理論的に研究し、生体分子素子構築を目標とする研究を実行した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.FJJIWARA ET AL.: "Ab initio study on effective exchange integrals of binuclear metal complexes." Syntheitc Metals. 41ー43. 3267-3270 (1991)
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[Publications] K.YAMAGUCHI ET AL.: "New models for organic magnetic conductors or organic Kondo and dense Kondo Systems." Synthetic Metals. 41ー43. 3754-3757 (1991)
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[Publications] K.YAMGUCHI ET AL.: "An ab initio approach to molecular magneto‐chemistry,in“Computer Aided Innovation of New Materials"" Eds.M.Doyama et.al.,Elsevier Science Pub., 984 (1991)
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[Publications] 山口 兆,他: "混合原子価錯体(季刊「化学総説」無機量子化子)" 日本化学会編(学会出版センタ-), 197 (1991)