1991 Fiscal Year Annual Research Report
新しい常磁性共鳴法による銅酵素の銅結合部位の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
03241204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩泉 正基 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (70006295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 裕範 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (10176985)
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Keywords | 銅酵素 / 常磁性共鳴法 / ENDOR |
Research Abstract |
本年度は、主に次の2つの観点から研究を進め、以下の成果をえた。 1)ENDORおよび分子軌道法によるブル-銅蛋白における銅イオン結合サイトの電子状態と機能との相関についての検討: アズリン,プラストシアニン等の電子伝達をつかさどる銅蛋白の銅イオンに配位する窒素の超微細結合定数は、関連する銅錯体の窒素の結合定数と比較して極めて異常な値をもつことがわかった。この原因を明らかにするため、X線構造解析により明らかにされている銅イオンの結合サイトの構造を基に、モデル錯体を用いて電子状態の特徴を分子軌道法により検討した。その結果、これらの銅酵素における不対電子軌道は、極めて異常に変形していることと、これにはシステインの硫黄原子が異常に接近して銅イオンに配位していること、配位平面がtetragonal構造ではなく、trigonalな構造をもつためであることがわかった。また、このようなtrigonalな構造にあっては、配位原子のわずかな位置的変化によって、その電子状態が大きく影響される可能性のあることがわかった。このような性質は、電子伝達機能を考える上で重要である。すなわち効率的電子移動反応をおこすためには、分子構造の変化ができるだけ小さいほうが望まれるし、また、電子の授受に際し、それに適した電子状態の変化が起こる必要があるからである。また、酸化還元両状態に対する電子状態の比較から、実際の銅酵素における電子移動のパスについて示唆にとんだ知見がえられた。 2)パルスESR法による反応過渡過程の動的構造の観測の試み: 反応過渡過程の動的構造・電子状態を検討することは、酵素機能を解明する上で極めて有用である。本研究では、パルスEPR法の一つである磁場掃引電子スピンエコ-法によりこれらの検討を試みた。その結果、同上スペクトルの観測のための試料調整に更に工夫が必要であること、分光器の感度の向上が望まれることがわかり、これらの整備、検討を進めた結果、今後の研究展開への展望をえた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yasunori Ohba: "ESEEM and ENDOR Studies of Triplet State Copper(II)Complex Dimer." Electron Magnetic Resonance of Disordered Systems. 175-191 (1991)
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[Publications] Shouichi Kita: "Proton ENDOR Studies on ZincーDoped Copper(II)Acetate Monohydrate Single Crystal" Bull.Chem.Soc.Jpn.64. 3324-3328 (1991)
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[Publications] Hiroshi Yokoi: "Novel Inclusion of Bis(2ーpyridylcarbinolato)copper(II)by Cyclodextrins" J.Am.Chem.Soc.113. 1530-1533 (1991)
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[Publications] Ryo Miyamoto: "Angleーselected ^<14>NーENDOR Study of Copper(II)Complexes with Distorted N_2S_2 and N_2O_2 Coordination Structures" Inorg.Chem.
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[Publications] Ryo Miyamoto: "Extended Huckel MO Studies of the Electronic State of Plastocyanin" Inorg.Chem.