1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03243207
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早稲田 嘉夫 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (00006058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 英一郎 東北大学, 素材工学研究所, 講師 (90173864)
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Keywords | 過冷却融体 / 非晶質金属 / ガラス遷移温度 / 結晶化 |
Research Abstract |
金属融体を十分に速い速度で急冷すると,結晶化は抑制され非晶質金属が生成することはよく知られている.これらの非晶質合金は一般に熱的に非常に不安定で加熱すると結晶化温度を示し結晶化する.しかしながら,最近新たに発見されたLa-Al-NiやZr-Al-Niなどの3元金属非晶質合金は熱的に非常に安定で,加熱しても結晶化する前に,明瞭なガラス遷移を示し過冷却融体状態になることが知らとれている.本研究ではこの事実に注目し,この熱的に安定な非晶質合金を使って,過冷却融体の原子構造と過冷却融体から晶出する結晶相の原子構造をX線的に決定し比較検討することにより,過冷却融体とそれから晶出する結晶構造との関係について考察することを主目的とした. X線異常散乱法による非晶質La_<55>Al_<20>及びZr_<60>Al_<15>Ni_<25>合金の測定の結果,過冷却融体と結晶相とで,La_<55>Al_<25>Ni_<20>合金中のNi原子の周りのLa原子の配列,Zr_<60>Al_<15>Ni_<25>合金中のZr原子の周りのAl原子の配列が大きく異なることが分かった.すなわち,過冷却融体と結晶との局所構造の大きな相違が,結晶の晶出を抑制し過冷却融体を熱的に安定にしていることが分かった.Zr_<70>Ga_<10>Ni_<20>とLa_<50>Ga_<15>Ni_<25>非晶質合金は,共に熱的に安定な非晶質合金で,明瞭な過冷却融体領域を示すが,過冷却融体領域での熱処理に伴ってZr_<70>Ga_<10>Ni_<20>合金は熱的に不安定になるが,La_<50>Ga_<15>Ni_<25>合金は熱的に変化しないという対照的な性質を示す.この対照的な非晶質合金を用いて,過冷却融体の焼鈍に伴う構造変化をX線的に調べた.その結果,過冷却融体が熱的に安定なしLa_<50>Ga_<15>Ni_<25>合金では,過冷却融体領域での焼鈍に伴う原子構造変化はほとんど観察されないが,熱的に不安定なZr_<70>Ga_<70>Ni_<20>合金では,大きな局所構造変化が観察された.これは,過冷却融体の熱的安定性が,原子レベルでの熱的安定性と密接に関係していることを実験的に示しており興味深い.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] E.Matsubara et al.: "An anomalous X-ray structural study of an amorphous La_<55>Al_<25>Ni_<20> alloy with a wide supercoled liquid region" Journal of Non-crystalline Solids. 150. 380-385 (1992)
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[Publications] E.Matsubara et al.: "Surface Structure of Nanometer-Sized Zinc Ferrite Particles by the Anomalous X-ray Scattering(AXS) Method" Z.Naturforsch.42a. 1023-1028 (1992)
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[Publications] Y.Waseda et al.: "Structural study of Amorphous Zinc-Ferrite Film by the Anomalous X-ray Scatterting Method" J.Phys.Condens.Matter. 4. 6355-6366 (1992)
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[Publications] E.Matsubara et al.: "Structural Studay of Zr_<60>Al_<15>Ni_<25> Amorphous Alloys with A Wide Supercooled Liquid Region by the Anomalous X-ray Scattering(AXS) Method" Materials Transactions,JIM. 33. 873-878 (1992)