1991 Fiscal Year Annual Research Report
イオン結晶性マイクロクラスタ-の分裂・蒸発の実験的研究
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03246211
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
篠原 久典 三重大学, 工学部, 助教授 (50132725)
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Keywords | イオン結晶性クラスタ- / 炭素クラスタ- / レ-ザ-脱離イオン化 / フレ-レン / TOF質量分析 / C_<60> / レ-ザ-蒸発 |
Research Abstract |
イオン結晶性マイクロクラスタ-や炭素クラスタ-を主とする半導体クラスタ-の分解やレ-ダ-蒸発の実験を行なうために、以下の順で研究を進めた。 1.レ-ザ-脱離リフレクトロン飛行時間型質量分析計の開発: Naclフラクタ-を代表とするイオン結晶性マイクロクラスタ-を生成する目的で、Nacl単結晶のレ-ザ-脱離イオン化TOF質量分析を行なった。クラスタ-生長管をはけなかったためか、Na^+,(Nacl)Na^+と(Nalc)_2Na^+の小さなクラスタ-のみが観測された。パルス分子線冷却とクラスタ-生長管を用いれば、大きなサイズの(Nacl)nNa^+型のクラスタ-の生長が期待される。炭素クラスタ-の脱離イオン化については、非常に大きなサイズの、炭素クラスタ-(フレ-レン)が観測された。 2.炭素クラスタ-(フレ-レン)の脱離イオン化と解離: グラファイト棒のア-ク放電で生成した、種々のサイズの炭素クラスタ-をレ-ザ-脱離した。その結果、レ-ザ-強度が小さい時の脱離では、C_<60>,C_<70>,C_<76>,C_<78>,C_<82>,C_<84>,C_<90>〜C_<96>の各炭素クラスタ-のみが、質量スペクトルに観測された。しかし、レ-ザ-強度が〜1mJ/spot以上では、C_<60>^+イオンはC^+_<58>〜C^+_<32>までのフラグメントイオンを生成した。この結果は、Smalleyらの気相のC^+_<60>クラスタ-のレ-ザ-光解離の実験結果と一致する。また、ア-ク放電で生成したススをピリジンで抽出した試料を355nmのレ-ザ-光の脱離を行なったところ、C_<70>〜C_<300>までの偶数おきのサイズのフレ-レンが観測された。この結果は,実際に,C_<300>程度までの非常に大きなサイズのフレ-レンが存在することを示している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] H.Shinohara: "Encapsulation of Scandium Trimer in Fullerene" Nature.
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[Publications] H.Shinohara: "Mass Spectroscopic and ESR Characterization of Soluble YC_<82> and Y_2C_<82>" J.Phys.Chem.
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[Publications] H.Shinohara: "Extraction and Mass Spectroscopic Characterization of Giant Fullerenes up to C_<500>" Rap.Commun.Mass Spectrom.
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[Publications] H.Shinohara: "Formation and Extraction of Very Large AllーCarbon Fullerenes" J.Phys.Chem.95. 8449-8451 (1991)
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[Publications] H.Shinohara: "Carbon Kーedge Xーray Absorption NearーEdge Structure of Solid C_<70>" Chem.Phys.Lete.183. 145-148 (1991)
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[Publications] H.Shinohara: "Carbon Kーshell Xーray Absorption NearーEdge Structure of Solid C_<60>" Jpn.J.Appl.Phys.30A. L848-L850 (1991)
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[Publications] 梶本 興亜(編): "クラスタ-の化学" 培風館, 305 (1992)
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[Publications] 篠原 久典: "C_<60>化合物の研究動向と応用展望" CMS社, (1992)