1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03246213
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福田 行男 神戸大学, 教養部, 助教授 (40025482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河本 敏郎 神戸大学, 教養部, 講師 (70192573)
鏑木 誠 神戸大学, 教養部, 教授 (40093504)
|
Keywords | ポ-ル・トラップ / Mathieu方程式 / バンド理論 / 超微粒子 / イオン・トラップ / 周期ポテンシャル |
Research Abstract |
本研究の目的は、超微粒子物性の実験的研究の一つの新しい手法を開拓する試みとして、イオン・トラップ法を用いて、サイズの揃った超微粒子を電磁的に狭い空間に捕捉し、その物性を調べる方法を開発し、この方法の適用性を明らかにすることである。 具体的には、超微粒子をイオン化して電磁的にトラップする装置を設計・製作し、トラップし微粒子を光学的に検出・観測する。このため、荷電粒子の電磁トラップ装置としてボ-ル・トラップを設計・製作する計画であるが、本年度は予算の関係でトラップ電極と真空チェンバ-の製作をみあわせ、実験に関してはトラップ装置に必須の真空系(タ-ボ排気セットと超高真空電離真空計を購入・準備するのみとし、トラップおよび周辺装置の設計のための理論的研究を主として行うこととし、ワ-クステ-ションを購入した。 理論的研究としては、分担者鏑木が中心となってポ-ル・トラップによる荷電粒子の捕捉とそのトラップ内での運動の解析を行い、興味ある結果を得ている。即ち、従来ポ-ル・トラップの解析に広く用いられている荷電粒子の運動方程式(Mathieu方程式)が、時間軸を空間軸に読み換えることにより、周期ポテンシャルのもとでの1次元シュレディンガ-方程式と同等となること、従って固体物理学の分野でよく調べられている1次元バンド理論がそのまま適用できることに着目し、バンド理論の豊富な内容を利用して従来の取り扱いと全く異なる視点から荷電粒子の運動を調べる方法を導入した。この方法によれば、トラップ電極に印加する直流および交流の電圧に対する荷電粒子の運動の性質、安定領域等の依存性を見通しよく議論できる(詳細は論文で公表する予定である)。この荷電粒子の制御についての独自の理解に基づき、現在、トラップを製作し実験に取り掛かる段階になっている。
|