1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03247218
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石井 晃 鳥取大学, 教養部, 助教授 (70183001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逢坂 豪 鳥取大学, 教養部, 教授 (80032316)
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Keywords | 光電子励起 / 自己無撞着表面グリ-ン関数 / マフィンティン |
Research Abstract |
角度分解光電子分光スペクトルはバンド計算の実験的検証としてよく用いられているが、特にダイヤモンド構造をとる半導体についてはそのスペクトルの計算は容易ではなかった。それは最近の精密なバンド計算の技法が擬ポテンシャル法という原子中心部での波動関数を直接解かない方法であるのに対し、光電子励起過程はその原子中心部からの寄与が最も大きいからである。しかしながら原子中心部で波動関数をまともに計算するマフィンティン法などでは逆に原子間のポテンシャルを一定と近似してしまい、それによって半導体のギャップなどは説明出来なくなることが知られている。 本研究ではまず固体内で電子の感じるポテンシャルをマフィンティンポテンシャルによる部分とそれからのずれの部分に分けて考えるシェフラ-らの自己無撞着表面グリ-ン関数の考えを用い、それを角度分解光電子分光にあてはめて理論式を整える事に成功した。それによると計算される光電子スペクトルはマフィンティンによる部分と、それからのズレの部分との和で表され、そのうちのマフィンティンによる部分には従来のペンドリ-グル-プの計算プログラムがそのまま用いられる事がわかった。従って従来の1ステップモデルによる光電子スペクトルに補正として非マフィンティンの部分が加わる訳で、これは計算する上で非常に助かる性質である。 実際の計算には例としてSi(100)2×1表面の光電子分光を計算し、そのピ-ク位置については適当な構造の下で実験と合うものの、スペクトル全体のプロファイルとしては一致はまだまだ不充分で、補正項の計算による改善の余地が少なくともシリコン表面についてはかなりある事がわかった。
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