1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03248212
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
武岡 英隆 愛媛大学, 工学部, 助教授 (90116947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 哲雄 愛媛大学, 工学部, 教授 (70036490)
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Keywords | 東京湾 / 大阪湾 / 物質輸送 / 沈降粒子 / セディメントトラップ / 陸棚斜面 / 潮流ポンプ / 濁度 |
Research Abstract |
本研究の目的は外洋への陸源物質の代表的な供給源である東京湾と大阪湾を対象とし、湾から外洋への物質輸送機構、輸送量、それらの季節変化、陸からの供給量の変化に対する外洋への輸送量の応答などを明らかにすることである。我々は今までに東京湾口の陸棚縁で観測を行い、夏季黒潮フロントの接岸に伴い、湾内表層と底層の粒子群が間欠的に外洋に流出すること、流出した粒子群は40m/日の速度で陸棚斜面上を沈降していくことなどを明らかにしてきた。本年度は東京大学海洋研究所の淡青丸を用いたKTー91ー2次航海において、流出していく粒子群を直接把えるために、東京湾口陸棚縁上水深240mの測点S8の80m深に時系列型のセディメントトラップと流速計を係留して観測を行った。その結果、下げ潮流時の平均沈降粒子フラックスは上げ潮流時の平均フラックスの約4倍であることがわかった。このような違いは陸棚上部と陸棚斜面上部では潮流の速さが異なり、したがって潮流起源の鉛直乱れも異なり、結果的に粒子の沈降速度が陸棚斜面上で大きくなるために引き起こされている。すなわち粒子を多く含んだ濁度の大きい水塊が下げ潮流時陸棚縁を横切ると、陸棚上では沈降出来ない粒子が陸棚斜面上では沈降してしまうのである。粒子を落とし、濁度を減じた水塊は上げ潮流で陸棚上に戻り、大きな水平・鉛直混合により内湾から粒子を供給されて再び濁度を増加させる。このような繰り返しにより沿岸・陸棚海域の粒子は効率的に外洋域に輸送されることになる。我々はこのような陸棚縁における粒子の輸送機構を「潮流ポンプ」と呼ぶことを提案する。潮流ポンプは潮流のある程度卓越した陸棚縁では世界のどこでも働いていると考えられるので、我々は今後、まず大阪湾での潮流ポンプによる物質輸送の実態を明らかにして、さらに世界の沿岸・陸棚海域から外洋域への粒子フラックスを見積りたいと考えている。
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Research Products
(1 results)