1991 Fiscal Year Annual Research Report
半導体レ-ザ-を用いた赤外天文観測のための高分解能分光システムの開発
Project/Area Number |
03249207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金森 英人 東京大学, 工学部, 講師 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 捷海 東京大学, 教養学部, 教授 (00012469)
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Keywords | 高分解能分光法 / 光ヘテロダイン検出 / 赤外線天文観測 |
Research Abstract |
天体観測においては遥か遠方の天体から届く極くわずかな光の中から、電磁波としての全ての情報を余すことなく引き出すことが要求される。今までの赤外線以上の光領域では電磁波を最終的には光量子として検出してきた。一方、ヘテロダイン検出法は電磁波の波としての性質を利用した検出法であり、マイクロ波領域の電波天文学で広く用いられている。この手法を近赤外領域の微弱なインコヒ-レント光に対して適用し、天体観測用の高分解能分光検出法の可能性を試みた。 光領域のヘテロダイン分光法に必要な高出力で安定な周波数可変の局部発振器としては、単一モ-ド発振する1.3μm分布帰還型(DFB)半導体レ-ザ-を用いた。また、この領域のミキサ-としては高速のGeアバランシェフォトダイオ-ドを用いた。インコヒ-レント光に対するヘテロダイン分光検出を確認するために、被測定光としては近赤外の広帯域LEDを連続背景光源としたAr原子の吸収線を用いた。観測光と半導体レ-ザ-光をハ-フミラ-で重ねレンズで集光して光ミキサ-に導入し、両者のビ-ト成分を電気信号として取り出した。広い範囲のスペクトルを得るために、局部発振器を周波数掃引しながら中間周波(IF)出力の特定帯域成分を取りだし、その二乗検波信号を記録することでスペクトルを得た。スペクトルの分解能は電気的に設定する帯域幅で決まるため、観測対象の吸収線の固有の幅に最適な分解能を設定することができることを示した。また、周波数の絶対確度が30MHzと高い(Doppler Shift=40m/sに対応)ので、新しい天体観測の可能性を提示した。
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Research Products
(1 results)