1991 Fiscal Year Annual Research Report
ニホンザル種特異音声の特徴抽出と皮質聴覚野の機能構成
Project/Area Number |
03251201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亀田 和夫 北海道大学, 歯学部, 教授 (70018414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 勉 北海道大学, 歯学部, 助手 (20091431)
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Keywords | ニホンザル / 大脳皮質聴覚野 / 特徴抽出 / coo音 / 合成音 / 組み合わせ音 |
Research Abstract |
ニホンザルの種特異音声のうち特に“coo"音2種およびそれを周波数成分に分離したものを発振器で合成した音声に対するニホンザル大脳皮質聴覚野ニュ-ロンの反応を調べた。左右両半球から慢性下に98個のニュ-ロンを記録した。そのうち54個について原音,合成音9通りの刺激音でテストを行うことができた。31ニュ-ロンは2種の“coo"音に同じような反応パタ-ンを示し,23は異なる反応を示した。後者のうち5個ではサルの音声に対する反応がその音を構成するある周波数成分を検知して応じているようであった。このことはこれらのニュ-ロンが周波数分析器として機能していることを示唆する。しかし“coo"音はいくつかの周波数成分からなるので,その周波数の組み合わせに対して応ずるニュ-ロンの存在も予想される。そこで第2の実験では周波数の異なる2音の組み合わせに対する反応をみた。 麻酔下でニホンザル頭部に慢性記録用のシリンダ取付手術を行い,1週間後から実験を始めた。白金イリジウムガラス被覆電極を用いて左半球の大脳皮質聴覚野から記録を行った。25刺入から20個のユニットを記録し,2純音の組み合わせ音に対する反応をみた。ユニット検索にはホワイトノイズ・純音を使用した。特徴周波数(BF)を決めることができたユニット17のうち5個について2音刺激を試みた。(音はBFの周波数で國値よりも5ー10dB強い音を使用し、もう1音は500〜1200^<HZ>の間の純音を100〜1000^<HZ>ずつscanした。4個のユニットでは側抑制がみられたが,1個ではある周波数の組み合わせの時に反応が促進された。このようなユニットはcoo音のような複数の周波数の組み合わせからなる音声の検出を行うことが示唆され,今後ユニットの数を増やすことによって聴皮質の特徴抽出機構を明らかにする興味あるニュ-ロンの発見につながるものと思われる。
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