1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03251220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻下 徹 大阪大学, 理学部, 助教授 (10107063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平地 健吾 大阪大学, 理学部, 助手 (60218790)
新田 貴士 大阪大学, 理学部, 助手 (20202244)
小林 毅 大阪大学, 理学部, 講師 (00186751)
村上 順 大阪大学, 理学部, 講師 (90157751)
山本 芳彦 大阪大学, 理学部, 教授 (90028184)
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Keywords | 神経回路網 / オ-トマン / 動的パ-タン学習 / メタレベル表現 / 内的シミュレ-ション |
Research Abstract |
環境構年として有限オ-トマン構造を設定し、それを神経系がどのように学習するかを研究することが当研究課題の目的であった。本年度の研究の早い段階で本課題の目的そのものに関わる根本的な点に問題があることが明確になった。以下この問題点の説明と、これまで得られた知見の概略を報告する。 1.その問題点は「オ-トマン構造を神経系が知っている」ということの意味についてである。当初「オ-トマトンの相空間が神経系内に表現され、オ-トマンの遷移規則が神経系の状態遷移規則として実現されている」ことがその意味であるとしていた。しかしこれは次の点で不十分であり不適切でもあることが明らかになった:(1)神経系が、複雑な環境の状態をすべて内部に表現することは不可能である。(2)しかし神経等は自分に価値のある側面だけを学べば良い。(3)行動生成の際にリアルタイムな内的シミュレ-ションを可能にするような様式で、環境オ-トマトンについての知識が実現されていなければならない。(4)現実の神経系では明確には区別出来ない「状態と状態遷移」と峻別する問題設定は好ましくない。 2.これまでの研究で得た部分的な知見を以下述べる。(1)(1.4に関して)分散システムの理論で用いられているシステムの概念が、神経系のように隠れた変数を多く持つ系の定式化として適していられる。これにより「知識」のある側面を明確に取り扱えるようになる。(2)(1.2、1.3に関して)環境の事象の「メタレベル表現」の導入により環境と接触中にも内的シミュレ-ションが可能になり、「メタレベルの評価系」と組み合わせることにより、妥当な行動生成をリアルタイムに行い、より適切な行動を同時に学んでいくモデルを考えることができる。しかもメタレベルの表現の導入は、環境構造について「オフライン」で学ぶことを可能とする。
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