1991 Fiscal Year Annual Research Report
糖転移酵素阻害に伴うPDGF依存性癌細胞殖抑制のガングリオシドによる解除の機作
Project/Area Number |
03255202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 聰 東京大学, 薬学部, 助教授 (40092283)
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Keywords | 糖転移酵素阻害 / 血小板由来成長因子 / ガングリオシド / 転移性癌細胞 / PDFG受容体 |
Research Abstract |
転移性癌細胞colon adenocarcinoma 26由来NL‐17細胞と正常細胞であるBalb/3t3細胞の血小板由来成長因子(PDGF)依存性増殖は、シアル酸転移酵素阻害物質(KI‐8110)存在下で培養すると抑制されるが、ここに外来性にガングリオシドを添加すると、両者に共通してGD16が増殖の回復効果を示す。その作用機作を明らかにするために、KI‐8110処理NL‐17細胞の細胞膜上に発現しているガングリオシド分子種の同定と増殖シグナルの発現に必須と考えられるPDGF受容体の二量体形に対するGD1bの影響についての検討を行った。 ガングリオシド分子種の同定の結果、KI‐8110非処理細胞ではGDlaの発現量が多く、GH2,GD3,GT1bがこれに続き、GD1b,GQ1bは少量成分であり、GM1の発現量は非常に少なかった。一方KI‐8110処理細胞では全般的にガングリオシドの発現量が減少していた。特にGD1b,GT1b,GQ1bの減少が大きく、GM2,GD3の減少の程度は低かった。 PDGF受容体の二量体形成へのGD1bの効果は、KI‐8110存在下あるいは非存在下で培養したNL‐17細胞により調製した膜画分に対し ^<125>I‐PDGFを作用させた後、架橋剤処理を行い、形成された ^<125>I‐PDGF‐PDGF受容体複合体を非還元条件下SDS‐PAGEで解析することにより行った(GD1bは ^<125>I‐PDGFを添加する前に膜画分に加えた)。その結果、KI‐8110処理NL‐17細胞の細胞膜画分では非処理細胞の細胞膜画分に比べPDGF‐PDGF受容二量体よりPDGF‐PDGF受容体単量体の方が相対的に多かったが,これにGD1bを加えると非処理細胞での結果と同じ傾向を示した。また対照として加えたGM1ではそのような効果はみられなかった。このことはPDGF受容の体の二量体形成(増殖シグナルの形成)に受容体近傍のガングリオシドが関与することを示唆する。
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[Publications] M.Sato: "Molecular cloning and expression of cDNA encoding a galactose/N‐acetylgalactosamine‐Specific lectin on mouse tumoricidal macrophages." J.Biochem.(1992)
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[Publications] K.Yoshimatsu: "Purif.cation and cDNA cloning of novel factor produced by a human T cell hybridoma:sequence homology with animal lectins." Molecular Immunology. (1992)
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[Publications] Y.Konami: "The primary structure of the Labunum alpinum seed lectin." FEBS Letters. 286. 33-38 (1991)