1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03257202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉山 宗隆 東北大学, 理学部, 助手 (50202130)
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Keywords | 植物培養細胞 / 増殖 / 二次代謝 / アントシアニン / ベタシアニン / カルコンシンタ-ゼ |
Research Abstract |
植物培養細胞における二次代謝産物の集積と細胞増殖との連関を明らかにするために、ブドウ培養細胞とヨウシュヤマゴボウ培養細胞を用いて、以下の研究を行った。 ブドウ培養細胞におけるアントシアニンの集積と細胞増殖との連関については、増殖の停止に伴うフェニルアラニン内生量の増大が、アントシアニン生合成系の鍵酵素であるフェニルアラニンアンモニアリア-ゼ(PAL)やカルコンシンタ-ゼ(CHS)の遺伝手発現を誘導し、アントンアニンの生成と集積が起きるという仮説を提唱している。この仮説を検証するため、本年度は、フェニルアラニン投与のPALおよびCHS遺伝子発現に対する影響を調べた。その結果、CHSのmRNAの増大がフェニルアラニン投与の1時間後には既に検出されたことから、フェニルアラニンがかなり直接的に(増殖への影響を介さずに)CHS遺伝子発現を誘導し得ることがわかった。これは先の仮説を支持する。なお、PALについては現在まだ明確な結果が得られていない。 ヨウシュヤマゴボウ培養細胞では、in vivoでのトレ-サ-実験の結果から、増殖と連関したチロシン水酸化活性の変動がベタシアニン生成と集積の重要な制御因子であることが示されていた。そこでチロシン水酸化酵素について検討し、カテコ-ル類のモリブデン試薬による発色を利用した活性測定法により、チロシン水酸化酵素と思われる活性の増殖に伴う変動を検出した。しかしその後、本法で検出された活性がチロシンの水酸化とは異なる未知の反応を反映したものであることが判明し、現在再検討中である。
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