1991 Fiscal Year Annual Research Report
カボチャのアスコルビン酸酸化酵素遺伝子の組識特異的発現とその制御機構の解明
Project/Area Number |
03257206
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
江坂 宗春 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (70151975)
|
Keywords | アスコルビン酸酸化酵素 / カボチャ / 遺伝子発現 / オ-キシン / 銅 / 組織特異性 / ゲノム遺伝子 / シス因子 |
Research Abstract |
アスコルビン酸酸化酵素cDNAをプロ-ブとしたノ-ザンブロット法によりカボチャ細胞におけるアスコルビン酸酸化酵素の種々の生産調節が転写レベルで制御されているのかどうかを調べた。これまでに、カボチャ果実組織からのカルス化に伴いアスコルビン酸酸化酵素活性およびタンパク質が急激に増大することを明らかにしているが、ノ-ザンブロットの結果からアスコルビン酸酸化酵素mRNAもカルス化にともない増大することがわかった。ホルモンである2、4ーDをぬくとアスコルビン酸酸化酵素mRNAは増大しないこと、同じカボチャの分泌性酵素であるキチナ-ゼは2、4ーDあるなしにかかわらず増大することなどから、アスコルビン酸酸化酵素は2、4ーDにより誘導されるものと思われる。すなわち、アスコルビン酸酸化酵素遺伝子の転写がオ-キシンにより制御されている可能性が示された。一般に、アスコルビン酸酸化酵素はウリ科植物の果実組織に多量に発現する酵素とされていた。しかし、ノ-ザンブロットの結果から新鮮な葉や茎組織にもかなりのアスコルビン酸酸化酵素mRNAが認められた。一方、カボチャ種子中にはアスコルビン酸酸化酵素mRNAは認められなかったが、吸水発芽にともなって、急激にアスコルビン酸酸化酵素mRNAが蓄積されていった。アスコルビン酸酸化酵素が2、4ーDで誘導されること、アスコルビン酸酸化酵素が細胞壁に局在する酵素であることなどを考えあわせると、アスコルビン酸酸化酵素が細胞の生長や増殖になんらかの関与をしている可能性が強い。カボチャ果実組織からゲノムDNAを抽出し、アスコルビン酵酸化酵素cDNAをプロ-ブとしたサザンブロットをおこなった結果、アスコルビン酸酸化酵素遺伝子のハプロイドゲノムあたりのコピ-数は1〜3コピ-と推定した。カボチャ果実組織のDNAからゲノムDNAライブラリ-を作製し、アスコルビン酸酸化酵素のゲノム遺伝子を単離した。今後、さらにアスコルビン酸酸化酵素遺伝子の発現調節の機構を明らかにしていきたい。
|
-
[Publications] 江坂 宗春: "カボチャ培養細胞のアスコルビン酸酸化酵素の発現および分泌生産に関する遺伝子レベルの研究" 日本農芸化学誌. 65. 1023-1024 (1991)
-
[Publications] Muneharu Esaka: "Regulation of Ascorbate Oxidase Expression in Pumpkin." Plant Physiol.
-
[Publications] 江坂 宗春: "植物有用酵素アスコルビン酸酸化酵素及びキチナ-ゼ効率的生産、生物機能の応用とバイオリアクタ-" 化学工学会 生物生産工学特別研究会, 6 (1991)