1991 Fiscal Year Annual Research Report
一本鎖DNAヘアピン構造を認識する複製タンパク質の構造と機能
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03259205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
正井 久雄 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40229349)
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Keywords | DNA複製タンパク質 / DNA結合タンパク質 / ATP加水分解酵素 / ATP結合タンパク質 / DNAヘリカ-ゼ / 亜鉛結合タンパク質 / 一本鎖DNAヘアピン |
Research Abstract |
priA遺伝子は、大腸菌染色体88.7分の位置に存在し、これまでに同定されていない新しい遺伝子であることが明かとなった。一方、構造解析の結果、priAはヌクレオチド結合タンパク質に共通に保存されている2つのモチ-フを所有していることが示された。特にGXGXXGKTを含むモチ-フは大腸菌の分子量75kD前後の他の3つのヘリカ-ゼuvrD、rep、helDとはその近傍まで含めてよく保存されいることから、進化的な関連が示唆された。さらに、priAはCXXC配列が4個クラスタ-をなして現われる領域を持ち、Zinc‐finger用の構造を持つ可能性が示唆された。プラスミドから計11個の独立のn'サイトを単離し、その構造を比較した結果、一次構造の上から5つのグル-プに分類された。いずれも安定なヘアピン構造を形成しうるが、一次構造上ですべてに保存された配列は見い出されないことから、n'タンパク質はヘアピンの高次構造を認識していると推察された。 染色体priA遺伝子を欠損した変異株を作成し、その抽出液を調製した結果、このものはのSSからRFへの複製及びColEI型のプラスミドであるpBR322DNA複製活性を有しておらず、その複製にはn'タンパク質の添加を必要とした。また、ニトロセルロ-スフィルタ-上に固定したn'タンパク質は、野生型のn'サイトとは結合するが、メチレ-ション保護の実験から接触ヌクレオチドと同定された部位に変異を持つn'サイトとは結合しないことが示された。現在、N端及びC端の欠失誘導体および、ヌクレオチド結合ドメインあるいはCXXCモチ-フの点変異体を作成し、これらの変異タンパク質の機能を上記のようにして確立されたアッセイ法を用いて測定している。
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[Publications] N Nomura,H.Masai,M.Inuzuka,C.Miyazaki,E.Ohtsubo,T.Itoh,S.Sasamoto,M.Matsui,R.Ishizaki and K.Arai: "Identification of eleven singleーstromd initiation sequences (ssi) for priming of DNA replication in F.R6k,R100 and ColE2 plasmids" Gene. 108. 15-22 (1991)
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[Publications] Hisao Masai,Yoshihisa Kubota,Kiyoatsu Umemura and Kenーichi Arai: "Functions of the φX174ーtype primosome and its primosomal proteins in plasmid and chromosomal replication" Journal of Cellular Biochemistry. Supplement16B. 94-94 (1992)
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[Publications] 正井 久雄: "複製におけるDNA結合タンパク質" Cell Science. 7. 445-459 (1991)