1991 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の細胞内輸送に関与する酵母Usol遺伝子産物の解析
Project/Area Number |
03264205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
依田 幸司 東京大学, 農学部, 助教授 (20143406)
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Keywords | 酵母 / 細胞内輸送 / Usol遺伝子 |
Research Abstract |
酵母のUsol蛋白は1790アミノ酸よりなる大分子量の親水性蛋白で、カルシウム結合配列をもちC末端側約半分でαヘリックスのcoiled coil二量体を形成していると予想されている。温度感受性uso1変異株では制限温度で小胞体からゴルジ体への蛋白質細胞内輸送が止まり核や小胞体の構造異常化がおこることから、Usol蛋白は小胞体ーゴルジ体間の小胞輸送に関与する。Usol蛋白の機能を明らかにするため、抗Usol抗体を用いてUsol蛋白の形状と局在性について検討を行なった。大腸菌で生産して2種のUsol部分融合蛋白或いはカルシウム結合配列を含む合成ペプチドを抗原として得た3種の抗体はいずれも、酵母菌体破砕液をSDS/PAGEで分画してWestern blotすると、同じ200Kの蛋白質と反応した。200Kの蛋白はCoomassie blue染色でも検出されるので比較的多量に酵母に存在する蛋白である。いずれの抗体も酵母細胞破砕液から未変性のUsol蛋白を直接に沈降させることはできず、免疫沈降にはSDS等による変性が必要であった。約200Kの分子量の抗Usol抗体と反応する蛋白のSDS/PAGEでの挙動は、菌体破砕液の調製法によって変化し、溶菌酵素でスフェロプラスト化してから破砕した場合は1本だが、集菌した細胞を直接ガラスビ-ズで破砕したときには2本認められた。スフェロプラスト化は細胞の諸活性を低下させるので、Usol蛋白のリン酸化等による修飾の有無がバンドの数に反映されている可能性が考えられる。Usol蛋白の細胞内局在性を調べるために遠心分画すると、いずれの調製法で調製した溶菌液の場合も、10,000xg,60分の遠心では完全に上清にあり、100,000xg,60分の遠心ではおよそ半分が沈殿に、残りは上清の下の方にあった。界面活性剤によりこの分布は影響を受けないことから、沈降は膜成分との結合によるのではない。このことはUsol蛋白が細胞内でなんらかの構造体を形づくって働いていることを示唆している。
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Research Products
(1 results)