1991 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞におけるCl^-チャンネルの意義と分子生理学的機構
Project/Area Number |
03268235
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
上田 清悟 東京都老人総合研究所, 研究員 (00160169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 哲 東京都老人総合研究所, 研究員
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Keywords | 内皮細胞 / クロ-ルチャンネル / サイクリックAMP / パッチクランプ法 / 形態変化 |
Research Abstract |
Shear stressやstretchが、内皮細胞のK^+チャンネル(IK_1)やCa^<2+>チャンネルを活性化する。私共は、先にcAMP(cyclicAMP)が内皮細胞の形態を収縮様に変化させることを明らかにし、これがCl^-チャンネルにより制御されることを報告した(Ueda,Circulation Res1990)。本年度は、パッチクランプ法を用いて内皮細胞の(l^-チャンネルの存在を明らかにし内皮細胞の形態とのカップリング機構を検討した。Tyrode液内で内皮細胞のwhole allクランプ法により、電流ー電圧関係をもとめると、電位と平行してほぼ直線的に電流は変化した。外液Cl^-濃度を142.2mMより5.6mMに置換すると逆転電位は、1.0mVより60.0mVに変化し、Cl^-チャンネル電流であることを示した。また、β受容体アゴニストのイソプロテレノ-ルにより、Cl^-電流は抑制された。一方、 ^<36>Cl^-のトレ-サ-を用いた実験ではイソプロテレノ-ルの存在により内皮細胞の ^<36>Cl^-の取り込みは20%減少した(P<0.01)。一方、 ^<36>Cl^-の遊離は、逆に30%より70%と増加した(P<0.05)。以上のことから、Cl^-チャンネルは、β受容体アゴニストによるcAMP産生により、Cl^-チャンネルは抑制をうけ過分極するため、Cl^-イオンは細胞より遊離されることを示した。Cl^-チャンネルの阻害薬Nーphenylanthranilie acidは高濃度ではβ変容体アゴニストによる形態変化を阻止したが、加えて ^<36>Cl^-の遊離を抑制した。これらのことは、Cl^-チャンネルが内皮細胞の形態変化を制御することを示した。内皮細胞の形態変化が、血管においていかなる機能を果すのかはまた明らかではないが、その一つとして血管障害の発症に関与することが考えられる。Cl^-チャンネルは、内皮細胞に存在し、内皮細胞の機能発現に重要な役割りを果していることが示唆される
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[Publications] Ueda,S: "Proteinkinase C mosulation of chloride channel of endo,thelial cells coupled to morphological change." Cirwlatin Res.(1992)
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[Publications] 上田 清悟: "neuropeptide CGRPの血管内皮細胞作用" 心臓. 23. S57-S59 (1991)
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[Publications] 上田 清悟: "血管内皮細胞の収縮" CLINICAL CALCIUM. 1. 66-69 (1991)