1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03269205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向井 宏 東京大学, 海洋研究所, 助手 (00013590)
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Keywords | モエビ類 / 捕食者 / 干渉型競争 / かくれが / 行動観察 / 数理モデル / 共存条件 |
Research Abstract |
本年度は、まず3種のモエビ類(ホソモエビ・ツノモエビ・コシマガリモエビ)の2週間おき1年間の定期サンプリング資料をもとに、各種の個体群構造と個体数密度、およびそれらの季節的変化を明らかにした。また、これらモエビ類の主要な捕食者であるハオコゼの個体群消長を、同様のサンプルによって明らかにし、同時に胃内容調査を行なって、食性と、モエビ各種に対する選択性を明らかにした。しかし、解析は未だ9月の採集分についてのみ行っただけで、その季節変化については来年度以降の課題である。9月の結果では、ホソモエビが最も多く食われており、その割合は、3種のモエビの個体数組成にほぼ近い割合であった。 室内飼育実験によって、3種のモエビの個体間の衡突(干渉型競争)頻度と、その反応を観察した。3種の間では、ツノモエビとコシマガリモエビが優勢であった。同種の個体同士では、ほぼ体の大きさによって優劣が決まったが、出会い頭の衡突においては必ずしもサイズに関係ない結果となった。捕食者を加えた水槽観察も行なった。捕食者の存在下では、モエビ類の行動に顕著な変化がおこり、干渉型競争に大きい影響がみられた。捕食者が近くにいる場合には、どの種のモエビも活動が不活発になり、遭遇頻度が極端に位下した。さらに遭遇が起っても、相手を葉上がら排除してしまわないことが多かった。 以上の観察結果と野外実験・採集結果から得られたパラメ-タ-を基礎として、かくれが(アマモ場)をめぐる2種間の干渉型競争個体群の数理モデルを開発中であり、いくつかの条件下で2種のモエビが共存できるための条件を明らかにする予定である。
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[Publications] 向井 宏: "アサリTapes philippinarum(Adams et Reeve)の瀘過摂食における非連続性について(予報)" 千葉大学海洋センタ-年報. 11. 19-22 (1991)
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[Publications] 向井 宏: "アマモ葉上性モエビ類のかくれがをめぐる競争と捕食者の役割" 日本ベントス学会誌. 39. 9-14 (1990)
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[Publications] Sakai,K & H.Mukai: "Two species of Upogebia from Tokushima,Japan,with a descrijtion of a new species,U.trispinosa." Zoologische Meditelingen. 65. 317-325 (1991)
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[Publications] Hiroshi Mukai: "The importance of primary in habitants in soft‐bottom Community organization" Benthos Research. 42. 13-27 (1992)
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[Publications] H.Mukai & S.Nojima: "Structure of the benthic community and its characteristics in a Fijian Seagrass Red" Austral.J.Mar.Freshw.Rls.,. 38. (1992)
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[Publications] Hiroshi Mukai: "Introduction to Applied Phycology.ーMacrophyteーPhytal Organism Interactions." SPB Academic Publ.,Haguイ, 683 (1990)