1991 Fiscal Year Annual Research Report
分析哲学における論理と数学の哲学の歴史的展開と現代的課題
Project/Area Number |
03301001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 友幸 北海道大学, 文学部, 助教授 (40166723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 大 北海道大学, 文学部, 助手 (40237227)
中戸川 孝治 北海道大学, 文学部, 助教授 (20237316)
金子 洋之 専修大学, 文学部, 講師 (60191988)
伊藤 邦武 京都大学, 文学部, 助教授 (90144302)
飯田 隆 千葉大学, 文学部, 教授 (10117327)
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Keywords | 無限 / 自己言及のパラドクス / 非古典論理 / 直観主義 / 意味の理論 / モデル理論 / 不完全性定理 / 状況理論 |
Research Abstract |
今世紀における分析哲学の発展において中心的な役割を果たした論理と数学の歴史的展開を跡づけ、今後の研究において広く共有されうる総括的な展望を提示するとともに、現代において著しい発展を遂げた経験諸科学および計算機科学との関連をも視野におさめて、今後の研究に確固たる方向づけを与えることを目的として本研究は発足した。初年度にあたる今年度においては、主として各分担課題に関してそれぞれ多くの新たな知見を得ることができた。具体的には、まず歴史的な展開に関しては、(1)論理学の成立と展開に関して、ラッセルと初期のウィトゲンシュタインの間の見解の対立が判断と命題の相互依存関係に関する対立に帰着すること、(2)ゲ-デルの不完全性定理が、「皮相な形式主義」、プラトニズム、直観主義にとっては深刻なものとはならないのに対してヒルベルトの形式主義のプログラムにとっては深刻な衝撃となるのは、それぞれの立場が数学的言明の意味をどのように考えるかによること、さらに近世哲学との関連に関して(3)カント-ルの集合論の背後にある哲学的見解とライプニッツの哲学との類似と差異、(4)自己言及のパラドックスおよび不完全性定理のような自己言及の問題と伝統的な自己認識の問題との関連、等が明らかになった。また経験諸科学および計算機科学との関連に関しては、(5)状況理論が人工知能研究におけるフレ-ム問題の解決や日本語の意味論への応用において有効であること、(6)カント-ル以降の集合論の相対化の進行とパラレルな相対化の過程が、線形論理を始めとする非古典論理のプログラミング方法論や並列処理への応用という形で、論理においても進行していること、等が明らかになった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 飯田 隆: "不完全性定理はなぜ意外だったのか" 科学基礎論研究. 第77号(Vol.20.No3). 7-13 (1991)
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[Publications] 金子 洋之: "意味の理論はいかにして言語の知識を特徴づけるかーダメットのデイヴィドソン解釈をめぐってー" 専修人文論集. 49号. 161-177 (1992)
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[Publications] Kunitake Ito (伊藤 邦武): "Fusion of Personal Identity?" Acta Institutionis Philosophiae et Aestheticae. Vol.9. 9-20 (1991)
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[Publications] 中戸川 孝治: "A. Tarskiにより定義された論理的導出関係:J. Etchemendyによる再構成と批判" 筑波哲学. 3号. 1-8 (1992)
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[Publications] 岡本 賢吾: "無限の理論の系譜学 ー実体のシステムから集合のシステムへー" 現代哲学の昌険(9) ゲ-ムと計算 (岩波書書). 167-238 (1991)
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[Publications] 伊藤 邦武: "言語と自由" 現代哲学の昌険(13) 制度と自由 (岩波書店). 333-398 (1991)
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[Publications] Hideyuki Nakashima & Syun Tutiya: "Inferring in a Situation about Situations" Situation Theory and Its Applicaions,vol.2,ed.by J.Barwise,J.M.Gawron,G.Plotkin and Syun Tutiya (Center for the Study of Lnmguage and Information). 215-227 (1991)
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[Publications] Hiroyuki Suzuki & Syun Tutiya: "A Strictly Incremental Approach to Japanese Grammar" Situation Theory and Its Applicaons,vol.2,ed.by J.Barwise,J.M.Gawron,G.Plotkin and Syun Tutiya(Center for the Study of Language and Information). 517-532 (1991)