1992 Fiscal Year Annual Research Report
成熟社会における藝術的都市環境-比較藝術学的研究-
Project/Area Number |
03301007
|
Research Institution | Tokyo University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
武藤 三千夫 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (50015301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 博之 東京大学, 工学部, 教授 (00011221)
鹿島 享 国立音楽大学, 音楽学部, 教授 (90050781)
利光 功 玉川大学, 文学部, 教授 (00074310)
角倉 一朗 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (80015263)
大岡 信 東京芸術大学, 音楽学部, 教授 (30203714)
|
Keywords | 都市 / 環境 / 芸術 / 複製芸術 / 美的環境形成論 / ユートピア / デザイン / メディア・アート |
Research Abstract |
最終年度の本研究では、前年度に引き続き都市環境をそこに住む市民文化の芸術的現在と創造的可能性として捉え、各分担者はそれぞれの実態と文献の調査を行い総合的成果を挙げるべく頻繁に連絡・会議を開いた。そして、各分担者は、独自の立場から総合へのアプローチを行い、次のように相応の成果を得たと思われる。 I「理論的研究-笠術都市環境論-」では、(1)武藤と岡田は、「美的環境形成論」を理論的に深めるべく、従来の文献研究の見直しと、実地調査を行い、環境美学と美的都市論の必要性、プラトンにおける美のヴィジョンの神話空間と環境形成の接点を指摘した。(2)平山は、ドイツの観念論美学、とりわけシラーの美学思想のユートピア論と環境形成論とを結びつけ論じた。 II「個別的研究-現代社会のおける諸芸術の様態-」では、(3)篠原は、科学技術と芸術との関係を考察しつつ、都市環境の現状を分析した。(4)大岡は、市民社会における文学の関与の重要性を指摘した。(5)角倉は、大都市パリとベルリンの音楽文化の現状を検討した。(6)石川は、都市が理念としての「何か」の複製であるという立場から都市論を、井村は虚構としての都市空間テーマ・パークを論じた。(7)稲次は、ヨーロッパと日本の公園の比較を行い、利光は、モホリ=ナギのデザイン活動について論じた。(8)鹿島は、「都市環境画ヴェドゥータ」を、同じく宮田は、アンドレア・デル・サルトの絵画と都市について論じた。(9)河野と佐藤は、我が国における代表的な都市およびイタリア山岳都市の立体造形の在り方の現状の実体を調査し、それらについて論じた。(10)鈴木は、建築におけるカテゴリーの分析を基礎に、都市の場所性との関連を追跡した。 以上の実績を総合的に見渡したところ、今年度は本研究の問題領域の広袤と深奥がかなり闡明されたので、研究成果報告として、論集の刊行を予定している。
|
-
[Publications] 井村 彰: "〈制度=芸術〉批判と美学" 美学. 43(3). 58 (1992)
-
[Publications] 鈴木 博之: "アートワークと場所論の視座" 建築保全. 81. (1993)
-
[Publications] 稲次 敏郎: "日本の庭園と絵画の関係" デザイン学研究. 82号. (1992)
-
[Publications] 河野 石根: "都市の生活環境と美学" 明星大学同窓会報. 78号. (1992)
-
[Publications] 利光 功: "コンセプチュアルアートについて" Matrix(東海大学芸術研究所). 10号. 5-13 (1992)
-
[Publications] 鹿島 享: "ラファエロ『アテネの学堂』の透視図空間について" 図学研究. 58号. 21-30 (1992)
-
[Publications] 武藤 三千夫(共著): "文化の翻訳可能性" 人文書院, (1993)
-
[Publications] 篠原 資明: "トランスエステティーク" 岩波書店, 181 (1992)