1992 Fiscal Year Annual Research Report
個人の生活意識の変化と新しい組織原理の形成に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
03301021
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小林 幸一郎 東洋大学, 社会学部, 教授 (10057995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 裕久 文理情報短期大学, 講師 (50223128)
宮田 正夫 武蔵大学, 人文学部, 講師
坪井 健 駒沢大学, 文学部, 助教授 (00119108)
田中 豊治 東邦大学, 医療短期大学, 助教授 (60183464)
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Keywords | 生活意識の変化 / 個人化 / 自己実現化 / 生活化 / 私事化(プライバタイゼーション) / ライフスタイル / 組織編成原理 |
Research Abstract |
「個人の生活意識の変化が、組織の編成原理に一体どのような影響を及ぼし、かついかなる新しい組織編成原理を形成しつつあるか」という研究テーマの下に、1989年12月、ON(Organization & Network)研究会を発足し、以来55回目を迎えた。この間、主としては理論的考察、作業仮説の検討および調査研究などに従事してきた。個人の新しい行動原理を「個人化」(個人の側において、組織への距離を相対化する傾向のこと)現象にあるものと見なし、その指標化づくりを試み、「自己実現化」「生活化」「私事化」「公事化」という4つのタイプを設定、これに基づいて調査項目を作成した。一方、企業組織と行政組織を中心に、企業20社、自治体17カ所を訪問、ヒアリング調査により実態分析を積み重ねてきた。そして全国規模で団体および個人へのアンケート調査を実施、団体調査は3,000部(企業および行政を含む)発送しうち794ケースの有効解答票を回収、既に分析を終了した。個人調査は調査の困難性により遅えていたが、企業5社から約1,000ケース、政行5カ所から約1,100ケースを回収し、分析結果の最終的段階に入ってくる。 この結果、いくつかの新しい面白い知見が得られている。例えば、団体調査の「個人化」に関する認知・評価・行動では、明らかに行政組織よりも企業組織の方が「組織自体よりも仕事そのものに生きがいの対象を見い出し」「職場に自分自身にとってのすごしやすさや快適さを求める」成員が増え、「何らかの対処の必要性を感じ」「具体的な対処をした」と解答している団体が多い。また個人調査の行政組織では、「仕事は生活のためと割り切り、職場以外の個人的趣味や私的生活のなかで、自己実現をはかっていく生き方」を望ましいと考えている職員が34%もおり、その背景や原因の解明に大きな関心が持たれている。
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