1991 Fiscal Year Annual Research Report
留学システムに関する国際・比較教育学的研究ー送り出しと受け入れの制度構造の分析ー
Project/Area Number |
03301028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松崎 巖 東京大学, 教育学部, 教授 (60012580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石堂 常世 早稲田大学, 教育学部, 教授 (50063748)
苅谷 剛彦 東京大学, 教育学部, 講師 (60204658)
石川 啓二 山梨大学, 教育学部, 助教授 (60134417)
丸井 英二 東京大学, 留学生センター, 教授 (30111545)
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Keywords | 留学生 / 国際 / 比較教育学 |
Research Abstract |
年度当初に全体会を開催し,研究計画全般と研究分担に関して討議を行った。分担者個々については個別に研究を進める一方,様々の視点から問題を突き合わせて考察するために研究会を逐次開催していくこととした。今年度の研究会で報告されたテ-マは「昭和18年における東京帝大の留学生受入れ体制の改革」「マレ-シア華人学生の海外留学とその問題点」「インドネシアの留学生送り出しの問題」「留学生・北里柴三郎」「中世北欧からの留学生の流れ」である。受入れに関する歴史的な研究では,時代背景の特質と受入れに伴う大学の制度的な変容の問題が指摘された。アジア諸国の留学生送り出しの構造に関しては,マレ-シアとインドネシアが取り上げられたが,いずれも国内に質の高い高等教育の機会が少ないだけでなく,当該国の教育政策全般の在り方が大きな要因として関わっている。マレ-シアではマイノリティの華人が民族語による高等教育を国外に求める事例が,また,インドネシアにおいては借款による留学生派遣の問題が取り上げられた。欧米に比べて日本への留学のコストが高いにもかかわらず何故日本を選ぶのかという問題について討議を行った。留学生には帰国して国家の発展に貢献することが期待されているが,他方で頭脳流出の問題が指摘される。これと関わって一つの事例として北里が海外での仕事の誘惑があったにもかかわらず,何故帰国したのか,そして帰国後いかなる貢献をしたのかが明らかにされた。欧米先進国の受入れの問題については次年度での報告が予定されている。また,日本の留学生受入れに関して面接調査と質問紙調査を予定していたが,具体的な内容に関する検討と新たな視点から問題を洗い直すことが先だとのことで未だ実施に移されていない。なお,3月に今年度のまとめの全体会を開き,来年度の計画及び最終の報告書の作成についても十分な時間を割いて検討を行う。
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