『本朝無題詩』の諸本の研究

1992 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03301052
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 久保田 淳 東京大学, 文学部, 教授 (40011316)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 堀川 貴司 東京大学, 文学部, 助手 (20229230) ; 渡部 泰明 フェリス女学院, 文学部, 助教授 (60191813) ; 加藤 睦 立教大学, 文学部, 助教授 (80204501) ; 村尾 誠一 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (20200256) ; 佐藤 道生 慶応義塾大学, 文学部, 助教授 (60215853)
• Keywords: 本朝無題詩 / 索引 / 本文 / 校本 / 校訂

Research Abstract

前年度に調査・収集した『本朝無題詩』の諸伝本に加え、実践女子大学蔵山岸文庫本を調査し、その写真版を入手した。これによって、現在知られ得る同書のすべての伝本(19種。ただし完本のみ)に対して、調査・収集を完了した。そのデータに基づき、諸本相互を比較検討した結果、研究史において従来未調査のまま放置されていた新潟大学蔵佐野文庫本を最善本とみなすに至り、同本を校本および一字索引作成の底本とすることを決定した。ひきつづき研究分担者全員および研究協力者によって、『本朝無題詩』の校本を作成する作業を開始した。その過程で、頻出する特有の異体字の存在、およびその処理の問題をめぐって、さまざまな知見が報告された。その校本の作成は、本年度七月をもって完了した。これによって、従来本文研究のほとんどなされなかった『本朝無題詩』の諸本の状態が一望し得ることとなった。その校本の成果に基づき、ひきつづき直ちに校訂本文作成の作業を開始した。この校訂本文は、一字索引としてデータ入力するためのものである。本研究の当初計画では、前述の校本をそのままデータ入力する予定であったが、多様な研究目的に供するためには、それでは大部で煩瑣に過ぎるものになる虞れがあると判断したためである。この校訂本文は、個々の詩の読解や典拠の調査などを踏まえ、底本を校訂し必要最小限の校異を示したものであり、一字索引のデータとなるのみならず、『本朝無題詩』を解釈する上での、もっとも信頼すべき本文となるべきものである。研究分担者全員および研究協力者により、本年度一月十日をもって、全体の約半分の校訂本文が提出された。残りの半分は、来年度四月十日に提出される予定である。また提出された校訂本文の全体的統一をはかるため、あらたに校訂本文再検討委員会が結成され、本度二年十七日より検討作業を開始した。

Research Products

• [Publications] 佐藤 道生: "山岸文庫所蔵『本朝無題詩』解題" 実践女子大学文芸資料研究所年報. 第12号. (1993)
• [Publications] 渡部 泰明: "交野の御野の桜狩ー俊成自讃歌の背景ー" 日本文学. 41巻9号. 78-82 (1992)
• [Publications] 近藤 みゆき: "「見渡せば」と「眺望」詩" 和漢比較文学叢書. 11. 221-239 (1992)