1991 Fiscal Year Annual Research Report
変動相場制下の国際的不均衡拡大の諸原因と是正の可能性
Project/Area Number |
03301074
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井村 喜代子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60051174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重田 澄男 静岡大学, 経済学部, 教授 (50022182)
北村 洋基 福島大学, 経済学部, 教授 (90091850)
増田 寿男 法政大学, 経済学部, 教授 (70061190)
藤田 暁男 金沢大学, 経済学部, 教授 (40039805)
鶴田 満彦 中央大学, 商学部, 教授 (50055133)
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Keywords | 変動相揚制 / 基軸通貨 / 日米経済関係 / 日米経済摩察 / 貿易不均衡 / ハイテク技術 / 技術開発力 / EC |
Research Abstract |
われわれは、課題を次の二つの面から考察し統合する計画であった。 第一は、国際的不均衡拡大の根源が、基軸通貨国=アメリカが近年のME技術革新・ハイテク産業の発展において日本に遅れをとり、そのため自国の中枢産業の国際競争力を弱化させ、貿象収支・経常収支の大幅赤字を恒常化したことである。 第二は、アメリカが上の状況を放置したまま金融自由化を推進し、国際協調によって為替操作をしたため、金利・為替の変動のもとで国際的金融活動が投機的性格を強め、国際的不均衡と混乱をかえって拡大したことである。 今年の研究会、夏の研究合宿では、第一の問題をほぼ明らかにすることができた。しかし1991年の湾岸戦争と東欧・ソ連社会主義の解体は当該課題にとってさらに研究範囲を拡大することを要求した。 われわれは、湾岸戦争が、アメリカの国内産業の低迷、財政赤字・国際収支赤字をさらに深刻化した反面、戦争におけるアメリカの軍事力・政治力の強さによって今までのところドルを支える作用を果たし、従来の国際的不均衡問題をかえって複雑にしていることを考察した。 以上が、今年度の研究成果である。 現在、東欧・ソ連の解体に対し、資本主義諸国とくにアメリカは、資本主義世界における国際的不均衡という問題を棚上げし、東欧・ソ連への経済的援助と市場経済化によって、資本主義圏の拡大をはかろうと懸命になっているが、かかる経済援助や貿易・投資の拡大は、今後資本主義諸国における国際的不均衡をさらに一層拡大する要因といえる。 1992年度では、第二の問題の解明とともに、かかる東欧・ソ連問題の分析によって、現代の国際的不均衡がきわめて深刻となっていることを解明する予定である。
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[Publications] 井村 喜代子: "1980年代における日米経済関係と日本経済(続)" 三田学会雑誌(慶応大). 84ー2. 179-206 (1991)
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[Publications] 増田 寿男: "ニつの現代資本主義偏ー加藤栄一氏および馬場宏二氏の見解をめぐってー" 経済志林(法政大). 59ー2. 1-38 (1991)
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[Publications] YOICHI TASHIRO 田代 洋一: "Agricultural Protection and Trade Friction:Domestic Adjustment Problems and New Adjustment Principles" 横浜国立大学経済学会 エコノミア. 42ー2. 1-8 (1991)
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[Publications] 矢吹 満男: "日米産業構造の変革" 三輪芳郎編 現代日本の産業構造. 青木書店. 30-53 (1991)