Research Abstract |
1991年度から93年度にわたって,研究代表者・分担者はそれぞれ所属する分野のテーマに関連して研究成果を学会誌等の機関誌,学会での口頭発表,著書等の形で発表したきた。研究成果報告書の作成にあたっては,研究成果をその内容に即して,第一部会計の国際的調和化,第二部会計システムの国際比較,第三部金融の国際化と会計および第四部社会関連会計の動向の4つの部にとりまとめることとした。 第一部では,経済の国際化に即した会計の国際的統一化の概念,国際会計基準委員会の活動の経緯,国際会計基準とわが国会計基準との比較研究,会計の国際的統一化における監査の対応等の問題が取扱われている。第二部では,保守主義と重要性の原則の国際的比較,日本企業の株主構成と会計政策,フランスにおける会計基準の設定,管理会計論研究の在り方,インターラクティブ・コントロールの実証研究等が収録されている。第三部では,オプション取引の会計処理,新株引受権付社債発行の会計処理,自己株式問題の会計処理,M&Aの会計基準,資産の保有利得と企業利益,配当政策における基本的考え方等が究明されている。第四部では,社会関連会計の国際的動向,環境問題と会計,および米国ポートランド市の財務報告等が問題とされている。 これらの研究成果は,全体として,経済の国際化が進む中で,企業の会計はどのように対応してゆかなければならないかという統一的モティーフに貫ねかれており,財務会計,管理会計および社会関連会計という3つの大きな会計領域にわたっている。その意味で,当研究成果は総合研究の名にふさわしいものといってよいであろう。当研究成果は,わが国の会計基準や会計法規の設定や改正にさいして,有力な主張として,大いに参考にされ,日本の会計制度の発展に寄与するものと期待される。
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