1992 Fiscal Year Annual Research Report
航空機観測による海洋関連物質の発生と循環に関する総合的研究
Project/Area Number |
03302020
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Research Institution | Water Research Institute, Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 浩 名古屋大学, 水圏科学研究所, 教授 (00115594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大和 政彦 群馬大学, 教養部, 講師 (60212289)
伊藤 朋之 気象庁, 高層気象台観測第三課, 課長
荒生 公雄 長崎大学, 教育学部, 教授 (40039425)
寺井 久慈 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助教授 (10023855)
大田 啓一 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助教授 (80022250)
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Keywords | 大気エアロゾル / 亜酸化窒素 / 硫黄循環 / 硫化ジメチル / 一酸化炭素 / スス粒子 / 大気微量成分 / インパクター |
Research Abstract |
前年度は主に測定装置の製作に重点を置いたが、今年度はその装置を使用して夏季に航空機観測を実施した。飛行区間は、名古屋と八丈島の間を往復するもので、往路は3000mの高々度を、復路は600mの低高度を飛行し、高度別および海上・陸上別に、大気エアロゾルの濃度、粒径、成分をインパクターと新しく開発した連続サンプラーを使用して観測した。同時に、大気微量成分である亜酸化窒素(N_2O)、メタン(CH_4)、各種有機物など分析するためにバッグによる空気サンプリングも行われた。 得られたデータは現在分析中であるが、大気エアロゾルでは名古屋付近の汚染地域で多量のスス粒子の存在が確かめられた。また、N_2Oに関しては、高度および地域にかかわらず、ほとんど一定値であることが確かめられた。N_2Oの長いlife timeを考えれば納得できる結果である。 海洋大気中の硫黄循環に関して、大気環界層モデルを作成して、硫化ジメチル(DMS)を起源とする海洋大気特有の硫黄循環系の存在の可能性を調べた。化学反応過程に若干不確定部分があるが、海洋大気中の硫黄循環は、植物プランクトンの放出するDMSによってほぼまかなわれていることが確認された。したがって、陸域大気と海洋大気では、硫黄の起源が全く異なっており、最終生成物である大気エアロゾルの性質や濃度も大きく異なっていることがわかる。この結果は、雲の形成過程にも影響を与え、最終的には気候変動にも関与する。 海洋から発生する一酸化炭素(CO)の船舶観測も東大海洋研の白鳳丸を使って行われた。その分析を現在続行している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Koga,S.and H.Tanaka: "Numerical study of the oxidation process of dimethyl sulfide in the marine atmosphere." J.Atmos.Chem.16. (1993)
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[Publications] Koga,S.,H.Tanaka and M.Hayashi: "Dimethylsulfide measured in the western Pacific and the southern Indian Ocean." J.Meteor.Soc.Japan. 71. (1993)
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[Publications] Ito,T.: "Size distribution of antarctic submicron aerosols." Tellus. 45B. (1993)
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[Publications] 溝口 次夫: "大気汚染物質測定法の変遷と公定法" 「ぶんせき」. No.9. 691-700 (1992)
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[Publications] 大田 啓一: "大気中のCOの起源に関する研究" 第2回IGACシンポジウム要旨集. 110-111 (1992)
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[Publications] 大和 政彦,田中 浩: "成層圏エアロゾルの大気球観測" 大気球シンポジウム(宇宙研)要旨集. (1992)