Research Abstract |
固体・液体・気体のそれぞれの状態の水の計測に最も有効であるとされている衛星マイクロ波リモ-トセンシングで,しかも高空間分解能が得られる合成開口方式のセンサ-(SAR)を用いた広域水文情報の抽出アルゴリズム開発を目的として,地上検証研究を実施した。用いるセンサ-は欧州リモ-トセンシング衛星(ERS‐1)搭載のCバンドSARと日本地球資源観測衛星(JERS‐1)搭載のLバンドSARである。衛星の打ち上げ時期は,本研究計画立案時より遅れ,前者は1991年7月に打ち上げられ既にデ-タの取得を開始しており,後者は1992年2月に打ち上げられたもののSARアンテナの展開不具合により観測には至っていない。 本研究で対象とする水文情報は降水量,土壌水分量,積雪量,流域地形で,本年度4回の研究会を通じて,琵琶湖周辺,関東平野西部,新潟平野,石狩平野,富山・金沢平野部,筑波において,それぞれの水文量とマイクロ波後方散乱を支配する物理量(温度,粒径,粗度など)を衛星に同期して測定する具体的な計画を立案した。この内,積雪を対象とするERS‐1検証実験を本年度,富田県砥波地区で実施した。平成4年2月14,20,23日の同期実験に延べ33人の研究者が参加し,積雪深,積雪密度,含水率,積雪粒径,雪温,積雪・土壌の誘電率,雪面の凹凸が広域的に観測され,地上観測デ-タ集が作成された。衛星デ-タは20日と23日に取得され,現在宇宙開発事業団にて処理中である。 一方,虫明は東京大学千葉実験所構内で,関東ロ-ムを対象に,土壌サンプル採取並びに車載型Cbandマイクロ波散乱計による観測を実施して,マイクロ波リモ-トセンシングによる土壌水分観測の可能性を示した。小池・深見は長岡技術科学大学構内にて,多偏波Cband散乱計による積雪観測を実施し,積雪のマイクロ波散乱特性の調査とマイクロ波散乱モデルの構築を行った。
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