1991 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性・骨原性腫瘍の免疫組織化学的解析とその病理鑑別診断への応用
Project/Area Number |
03304041
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
永井 教之 岡山大学, 歯学部, 教授 (90085770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 亨 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (20124696)
堤 啓 大阪医科大学, 検査部, 助教授 (10032864)
久保木 芳徳 北海道大学, 歯学部, 教授 (00014001)
長塚 仁 岡山大学, 歯学部, 助手 (70237535)
竹下 信義 岡山大学, 歯学部, 助教授 (00118275)
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Keywords | 骨基質蛋白 / オステオネクチン / オステオカルシン / コラ-ゲン / 免疫組織化学 / ヒト顎骨 / セメント質 / 歯根膜 |
Research Abstract |
本研究に使用する骨基質蛋白(オステオネンチン、オステオカルシン)に対するモノクロ-ナル抗体の作製は、その過程のハイブリド-マのクロ-ン化に時間を要することから、ポリクロ-ナル抗体を作製して研究した。それら蛋白に対するモノクロナ-ル抗体の作製は継続している。検索組織には主にヒト成人顎骨およびそれに植立した歯牙硬組織と歯周組織を使用した。硬組織の免疫組織化学では、脱灰操作がその染色性に影響することから、各脱灰液について検討した。その結果、非脱灰組織、蟻酸脱灰、EDTA脱灰、および塩酸脱灰の間で染色性の差異がみられた。骨基質蛋白の免疫染色で非脱灰、蟻酸脱灰骨組織で良好な染色性がみられたが、EDTA脱灰では染色性の低下が観察された。また免疫組織染色過程の酵素処理は、ヒアルロニダ-ゼ処理が最も良好な結果を示した。各骨基質蛋白の正常ヒト成人顎骨における局在は次の通りであった:オステオネクチンは骨芽細胞、類骨に陽性であり、類骨に近接した骨小窩内の骨細胞も陽性であった。またオステオカルシンは類骨、骨細胞に陽性であり、骨芽細胞は弱陽性〜陽性であった。オステオネクチン、オステオカルシンハセメント芽細胞、セメント質基質にも陽性であり、特にオステオネクチンは歯根膜組織にも陽性であった。セメント質基質では改造線に一致して陽性であり、骨組織とは異なった染色パタ-ンが示された。また、コラ-ゲン分子種の免疫染色では、111型コラ-ゲンが骨に比較してセメント質で明瞭に染色された。以上のように骨基質蛋白、オステオネクチン、オステオカルシンは硬組織形成性腫瘍の免疫組織化学的解析に有効であることが示された。又、本年度は歯原性腫瘍について、エナメル蛋白(アメロジェニン、オステオネクチン)抗体を用いて予備観察を行った。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 竹下 信義: "合成水酸化アパタイト骨埋入後の多核巨細胞および破骨細胞の動態について" 日本口腔インプラント学会誌. 4(1). 1-6 (1991)
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[Publications] 長塚 仁: "エナメル上皮腫の免疫組織化学的、電子顕微鏡的研究…特に、サイトケラチンとの中間径フィラメントについて…" 岡山歯学会雑誌. 10(1). 37-52 (1991)
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[Publications] 赤木 巧: "ラット顎骨および皮下組織埋入合成水酸化アパタイト表面に出現する多核巨細胞の酵素組織化学的研究" 歯科基礎医学会雑誌. 33(3). 275-280 (1991)
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[Publications] N.Takeshita: "Histological and histometric observation of rat jaw bone after implantation of synthetic hydrozyaptite" Jpn J Oral Biol.33(3). 320-322 (1991)
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[Publications] N.Nagai: "Ameloblastic carcinoma:case report and review" J Orel Pathology&Medicine. 10(1). 460-463 (1991)
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[Publications] 新谷 悟: "原始性嚢胞および歯原性角化嚢胞の臨床的、病理組織学的ならびに免疫組織化学的検討" 日本口腔外科学会雑誌. 37(9). 1591-1599 (1991)
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[Publications] 永井 教之: "歯原上皮性腫瘍の細胞骨格、アメロジェニン・エナメリンの局在に関する免疫組織化学的検討" 日本口腔科学会雑誌. 4(4). 746-752 (1991)
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[Publications] L.Missana: "Formation of acellular cementum at interface between zirconia ceramic and enamel aspect of rat incisor periodontium" J Jpn Society of Oral lmplantology. 4(2). 176-182 (1991)
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[Publications] 日名 雅彦: "異物に対する原則的生体反応、インプラントに対する口腔粘膜と顎骨の反応:口腔インプラント学(上巻)" 医歯薬出版, 19 (1991)
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[Publications] 永井 教之: "骨・歯牙組織の病理検査法と研究技術の実際" 学際企画, 218 (1991)
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[Publications] Yoshinori Kuboki: "Osteogenesis induced by BMPーcoated biomaterials:Biochemical principles of bone reconstruction in dentestry:The boneーbiomaterial interface" University of Toronto Press, 11 (1991)
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[Publications] Davies,J.E.: "Deposition of cementーlike matrix on implant materilas :The boneーbiomaterial interface" University of Toronto Press, 10 (1991)
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[Publications] 永井 教之: "循環障害、3章 :歯学生のための病理学 一般病理編" 医歯薬出版, 21 (1991)