1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03304042
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 俊英 長崎大学, 歯学部 教授 (60013968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 俊樹 日本歯科大学, 新潟歯学部, 教授 (10060451)
笠原 泰夫 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (10028730)
天野 仁一朗 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60076015)
島田 久八郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (50018404)
中村 嘉男 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (10010026)
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Keywords | 食物摂取 / 味の認知 / 咀嚼リズム / 唾液分泌 / 味覚トランスダクション / 大脳味覚野 / 唾液核 / 口腔体性感覚 |
Research Abstract |
1.平成3年10月10ー11日の2日間、鹿児島市で「食物の摂取機構の総合的研究」の班会議を開催したところ、研究代表、研究分担者及び共同研究者の総計35名が参加して、初年度の10月までに得られた研究成果及び研究の将来計画についての活発な発表・討論がなされた。 2.味覚刺激のトランスダクション、味の種類の同定、味の認知のメカニズムに関する研究は班員の佐藤、山本と笠原が行っている。味覚トランスダクションには味細胞受容膜に点在する種々のイオンチャネルの開閉が重要であり、味の同定・認知には扁桃体・大脳味覚野の関与が大切である。甘味の認知には大錐体神経を径由する伝導路が深く関わる。 3.食物の認知とその摂取に係る口腔内諸器官の運動との関連は、山本、笠原、林、天野の班員が研究している。味の認知後の食物の摂取行動を引き起こすニュ-ロン回路の一部が明らかとなり、その行動にはラットでは橋味覚野から投射を受ける視床下部ニュ-ロン及び橋・視床・大脳味覚野から投射を受ける扁桃核ニュ-ロン活動が重要である。 4.咀嚼リズムを制御する中枢性メカニズム及び口腔・顔面の体性感覚性メカニズムは、組織学的・生理学的手法によって中村、角野、林、鈴木、刈田、豊島、島田、山田、植村らの班員が研究している。大脳及び脳幹で形成される咀嚼リズムは、舌、歯根膜、歯、口唇、頬及び他の口腔粘膜からの感覚入力が大脳皮質体性感覚野で統合されて微妙に調節されることがラット、ウサギ、モルモットでの実験で明らかになった。 5.唾液分泌メカニズムは猪股と村上の班員が研究している。唾液の分泌の様相は、与える食物の種類で変化するが、上・下唾液核ニュ-ロンのインパルス・パタ-ンの変化と関係している。ネコの上唾液核ニュ-ロンは三叉神経脊髄路核中間亜核内の吻側部感覚核と尾側部感覚核から投射を受ける。
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Research Products
(21 results)
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[Publications] 吉田 昌江: "舌背酸刺激時の耳下腺唾液中のイオン濃度と蛋白質及び分泌速度の変動." 東日本歯学. 9. 1-7 (1990)
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[Publications] UemuraーSumi,M.,et al.: "Reーexamination of the topographical distribution of motoneurons innervating the digastric muscle in the rabbit and guinea peg." Anat.Anz.173. 9-16 (1991)
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[Publications] 内田 憲二,他: "ウサギ固形飼料摂食時の咀嚼運動と嚥下の関係について." 歯基礎誌. 33(補冊). 119- (1991)
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[Publications] 平場 久雄,他: "ネコ咀嚼運動遂行における口周囲部と舌より表存性の入力を受けるSIニュ-ロンの役割." 歯基礎誌. 33. 341-353 (1991)
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[Publications] Okada,Y.,et al.: "Vasopressin increases frog gustatory neural responses elicited by NaCl and HCl." Comp.Biochem.Physiol.100A. 693-696 (1991)
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[Publications] Miyamoto,T.,et al.: "An application of pipette perfusion method to isolated frog taste cells." Proceedings Jpn.Symp.Taste Smell. 25. 293-296 (1991)
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[Publications] Miyamoto,T.,et al.: "Voltageーgated membrane current of isolated bullfrog taste cells." Zool.Sci.8. 835-845 (1991)
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[Publications] 榎本 純男,他: "随意性顎運動にともなう運動準備電位の分布ーMRIによる皮質領域との対応." 歯基礎誌. 33(補冊). 122 (1991)
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[Publications] 角野 隆二,他: "顔面口腔領域の各種感覚入力を受けるSIニュ-ロンの形態." 歯基礎誌. 33(補冊). 197 (1991)
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[Publications] 古和田 一成,他: "開口反射に対する扁桃体条件刺激の効果." 歯基礎誌. 33(補冊). 192 (1991)
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[Publications] 戸田 孝史,他: "抗Substance P血清投与の脊髄侵害受容ニュ-ロンの発火パタ-ンに与える影響." 歯基礎誌. 33(補冊). 274 (1991)
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[Publications] 五十嵐 雅子,他: "顎の側方反射に及ぼす臼歯からの反射性制御." 歯基礎誌. 33(補冊). 121 (1991)
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[Publications] 石塚 健一,他: "三叉神経から上唾液核ニュ-ロンへの入力様式の脳幹切断による解析." 歯基礎誌. 33(補冊). 116 (1991)
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[Publications] 吉野 賢一,他: "顔面・口腔領域の感覚神経における神経変性について. 1.ネコ下歯槽神経切断による歯髄神経変性の電顕観察." 歯基礎誌. 33(補冊). 275 (1991)
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[Publications] 刈田 啓史郎,他: "オトガイ神経に含まれる血管運動神経の性質." 歯基礎誌. 33(補冊). 113 (1991)
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[Publications] Harada,S.,et al.: "Decrase of taste discrimination ability for sucrose after bilateral sections of the greater superficial petrosal nerve." Proceedings Jpn.Symp.Taste Smell. 25. 305-308 (1991)
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[Publications] 山本 隆,他: "味刺激により発現するcーfos様蛋白質のラット脳内分布." 味と匂のシンポジウム論文集. 25. 85-88 (1991)
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[Publications] Toyoshima,K., et al.: "Effect of denervation on the neuronspecific enlase immunoreactivity of Merkel cells in the taste organs of the frog." Okajimas Folia Anat.Jpn.68. 67-69 (1991)
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[Publications] ブレインサイエンス振興財団(編): "ぶれいんさいえんす '91" ブレインサイエンス振興財団, 34 (1991)
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[Publications] 木島 博正(編): "化学受容におけるトランスダクションの分子機構(平成2年度科学研究費補助金(総合研究A)研究成果報告書)" 木島 博正(名古屋大学), 105 (1991)
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[Publications] 日本科学技術振興財団(編): "Directory of HFSPーrelated Researchers in Japan" 理化学研究所, 283 (1991)