1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03402008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沢田 康次 東北大学, 電子通信研究所, 教授 (80028133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 雅己 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (40150263)
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Keywords | 形態形成 / 自己組織 / 境界と制御 / ペ-スメ-カ- / 細胞選別 / 生命状態 |
Research Abstract |
生命状態とは何か,その統計的性質は何かと云う問題を物理学的、生物学的及び工学的に取り組むのか本研究の課題である。 生命状態はエネルギ-の代謝があることはまず基本的要請である。エネルギ-の出入りのある系は非平衡系と呼ばれていて,この系が非線形性を持てば,形態形成,発振.カオス等生命状態に関わりの深い現象で自己組織することは最近の我々の研究で明らかになっていた。本研究では更に、生命状態は境界を自己組織しその境界を自ら生成する情報によって制御することに問題を掘り下げ,そのことを示す物理現象を研究した。速いタイナミックスを持つ振動系と遅いダイナミックスを持つ構造変数系が結合すると,ゆらぎにより構造変数が一様状態から非一様状態に転移して振動のペ-スメ-カ-を自己組織することが判した。この例を液晶対流系で実証し,粘菌の運動のモデルに又,心臓ペ-スメ-カ-自己組織の機構にヒントを与えた。 次に生物学的には、ヒドラの解離細胞集合体からの再生順に重要なステップである,細胞選別の機構と形態形成の機構に関して2つの重要な知見を得た。細胞選別に関しては細胞膜間の粘着力だけによって細胞の中心点を連続に動かすだけで細胞の長距離動が可能であり生物の実際の細胞選別を再現出来ることを示した。 又形態形成時には,これに反して,細胞は移動することなく,解維以前の細胞の性質を一たん消去して新しく頭部や尾部の細胞を分化することより構造の再生することを実験時に示した。これはヒドラに限るものが一般的なものかはまだ未定であるが,細胞選別期における細胞の動きとは全く異ることを示したことは意義深い。
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