1991 Fiscal Year Annual Research Report
地震の破壊核形成過程と先行的低速伝播すベりに関する研究
Project/Area Number |
03402012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平澤 朋郎 東北大学, 理学部, 教授 (80011568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 哲 東北大学, 理学部, 助手 (70181849)
堀内 茂木 東北大学, 理学部, 助教授 (00004490)
加藤 尚之 東北大学, 理学部, 助手 (60224523)
楠瀬 勤一郎 地質調査所, 環境地質部, 主任 研究官
山本 清彦 東北大学, 理学部, 助教授 (90004390)
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Keywords | 非地震性すべり / 破壊核 / 固着すべり / 複合断層 / 先行すべり |
Research Abstract |
東北地方では,太平洋プレ-トが日本海溝付近から日本列島の下へ潜り込んでいるが,その運動は空間的にも時間的にも一様ではない.浅部プレ-ト境界では間欠的に大地震としてすべりが発生し,深部境界では定常的にすベりが発生していると考えられている.この中間の深さのプレ-ト境界では,低速伝播の非地震性すべりが発生する可能性があり,これが浅部境界の地震破壊核形成に寄与すると同時に,内陸の浅い地震活動にも大きな影響を及ぼすと考えられる.本研究はこのような問題意識のもとに,既存断層をもつ大型岩石試料を用いて固着ーすべり実験を系統的に行い,すべり破壊核形成過程の追跡を通して,低速で伝播する不安定すべりの発生条件と安定性の解明を目指すとともに,地殻変動の観測デ-タから実際の現象としての非地震性すべりの検出を試みる。 一般に,既存断層面をもつ大理石試料では安定すべりになりやすく,花崗岩試料では高速で伝播する不安定すべりが発生しやすい.そこで,大理石と花崗岩を組み合わせて,断層面の一部は大理石,他の部分は花崗岩になるような複合断層試料を製作した.この試料をもちいて固着ーすべり実験を行ったところ,低速で伝播する不安定すべりが数多く見いだされた.その伝播速度の範囲は0.1m/sから500m/sであった.これらの不安定すべりの特徴は,1)すべりの伝播速度からみると,横波の速度に近い伝播速度をもつ不安性すべりと伝播速度が定義できない安定すべりの中間的性質をもち,2)すべり速度と応力降下量も不安定すべりに比較して小さく,かつ,3)伝播速度が増大していく過渡的状態というよりもある程度安定した伝播とみなすことができるで,このように,大理石中でも不安定すべりの伝播が実現する理由は,強度の歪速度依存性によると考えられる.一方,地殻変動のデ-タから非地震性すべりの検出を最終的な目標として,まず地震発生に起因する歪の推定を試みた.その結果,東北地方における東西方向の歪成分の地域的な特徴は,宮城県を除いた内陸で伸びが,日本海溝より内側の太平洋底と日本海中部地震の余震域では縮みが卓越することがわかった.今後は,観測された歪とこの推定された歪の差を詳細に検討する予定である.
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[Publications] 楠瀬 勤一郎: "Effect of grain size on fractal structure of acoustic emission hypocenter distribution in granitic rock" Phys.Earth Planet.Int.67. 194-199 (1991)
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[Publications] 加藤 尚之: "Slowly propagating slip events in a composite sample of granite and marble" J.Phys.Earth. 39. 461-476 (1991)
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[Publications] 加藤 尚之: "A statistical method for detecting linear trend changes and its application to deformation rate analysis" Tohoku Geophys J.34. 13-34 (1991)
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[Publications] 堀内 茂木: "The 1986 joint seismological research in Western Nagano PrefectureーHypocenter locations by a dense network" J.Phys.Earth.
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[Publications] 加藤 尚之: "Strainーrate effect on frictional strength and the slip nucleation process" Tectonophysics.