1993 Fiscal Year Annual Research Report
高圧力下の非弾性光散乱による潤滑油のレオロジー研究
Project/Area Number |
03402027
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤城 郁哉 三重大学, 工学部, 教授 (90023043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 裕一 三重大学, 工学部, 講師 (20164345)
黒崎 靖 三重大学, 工学部, 教授 (60023339)
鈴木 泰之 三重大学, 工学部, 助教授 (80150283)
妹尾 允史 三重大学, 工学部, 教授 (40023147)
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Keywords | 高圧力 / 非弾性光散乱 / 潤滑油 / ブリルアン散乱 / 粘度 / 密度 / ダイヤモンドアンビルセル / レーザー |
Research Abstract |
本年度得られた知見など、研究実績を研究実施計画に従って以下に略記する。 1)各種潤滑油の高圧力下におけるブリルアン散乱実験の結果、ナフテン系油の圧力-音速関係から相転移を観測した。パラフィン系油の高圧力下の密度変化はDowsonの圧力-密度実験式とほぼ一致したが、ナフテン系油ではパラフィン系の半分となることを見出した。またナフテン合成油の5P4Eでは、液体状態でも横波の音速が観測され、横弾性係数を2.7GPaまで得た。 2)DACを90度と180度に配置させて異なったフォノン面のブリルアン散乱実験を行い、タールナフテン合成油について得られた屈折率は、ガラス転移圧力以上でヒステリシスを観測した。 3)レイリー散乱実験については、マルチチャンネルアナライザーおよびDACを用いた高圧実験では、水および極性基を有するエステルなどで、球落下法では得られない高い粘度が得られた。5P4Eにおいてはポリスチレン球を入れなくてもレイリー散乱が高圧力下で得られ、ガラス転移点付近の粘度が得られた。 4)イメージ分光器およびラマンノッチフィルターを使ったラマン実験装置を用いて、ナフテン系合成油であるBCCMの実験結果ではガラス転移圧力以上において振動モードが一定になるものと、増加し続けるモードが存在することがわかった。分子動力学によるレオロジー特性計算は、ポテンシャル関数について検討した。 5)総括として、これまであまり解明されていない超高圧力下における潤滑油の粘弾塑性挙動を解明するため、DACを利用したブリルアン・レイリー・ラマン散乱などの非弾性散乱の測定により従来の方法では困難であった広い領域での密度、粘度および弾性定数などのレオロジー特性を評価でき、本研究の目的をほぼ達成できた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 中村裕一、藤城郁哉、田村孝之: "潤滑油の高圧力レーザ光散乱と力学特性評価(第二報,高圧力ブリルアン散乱により潤滑油の音速、密度の圧力依存性評価)" 日本機械学会論文集C編. 59-559. 868-872 (1993)
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[Publications] 藤城郁哉、中村裕一、角田正幸: "Raman Scattering Measurements of Lubricants over Glass Transition Pressure" Proceedings of INTERNATIONAL SEMINAR ON MICROSTRUCTURES AND MECHANICAL PROPERTIES OF NEW ENGINEERING MATERIALS. 257-264 (1993)
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[Publications] 黒崎 靖: "Thickness Dependence of Equi-Biaxal Yield Stress and Limit Strain in Electronic Copper Sheets and Foils" Advanced Technology of Plasticity 1993(Proc.of the 4th Int.Conf.on Technology of Plasticitiy). 1893-1898 (1993)
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[Publications] 角田正幸,藤城郁哉,中村裕一: "高圧力下におけるレイリー散乱測定" 第34回高圧討論会講演要旨集. 34. 436-437 (1993)
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[Publications] 藤城郁哉、中村裕一、川上博士: "Estimation of Refractive Index and Density of Lubricants under High Pressure by Brillouin Scattering" Proceedings of Joint AIRAPT/APS Conference on High Pressure Science and Technology. 発行予定. (1994)
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[Publications] 鈴木泰之、小竹茂夫、妹尾允史: "Molecular Dynamics Simulation by Pseudopotential Method(Tensile-Stress Testing on Alminum)" The 1st Asia-Oceania Int.Symp.on plasticity,Beijing,China,1993.8.17.発表、Proc.(発行予定). (1994)
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[Publications] 藤城郁哉、中村裕一 ほか: "Current Japanese Materials Research,Vol.13" Elsevier(日本材料学会)(発行予定), 195 (1994)