1994 Fiscal Year Annual Research Report
多原子分子イオンの中性化過程を利用した化学反応遷移状態の探究
Project/Area Number |
03403003
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
小谷野 猪之助 姫路工業大学, 理学部, 教授 (80016089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澄 孝博 姫路工業大学, 理学部, 助手 (20244684)
島 信幸 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (90167445)
本間 健二 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (30150288)
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Keywords | 化学反応遷移状態 / イオン-分子反応 / イオン-イオン再結合 / 振電励起イオン / 遷移金属原子 |
Research Abstract |
初年度から建設を進めてきたビーム-チャンバー法/ビーム交差法の装置が完成し、イオンビームの特性について詳細なデータが得られた。デュオプラズマトロン型イオン源から引き出されたイオンを磁場型質量分析管で質量選別し、レンズ系で減速して得られたN_2^+イオンビームについて、反応室通過前後でエネルギー、エネルギー幅および強度の測定を行った結果、いずれも所期の目的にほぼ十分なものが得られていることがわっかった。エネルギーは約6eVまで減速され(磁場通過中は1.5keV),エネルギー幅は1eV以下、強度は、空間電荷限界の10^5cm^<-3>が得られた。続いて、反応室にArを導入しCO^+イオンビームとの衝突実験を行ったところ、電荷移行生成物Ar^+が30%ほど観測され、2次イオンの引き出し効率や検出感度も最終目的としている反応中間状態の観測に十分なものであることが示された反面、1次イオンビームの中にすでに励起状態のイオンCO^+(A^2II)がかなり含まれていることも判明した。これはレーザー励起による反応中間状態のプローブには不利の点であり、今後の克服課題である。しかし、励起状態の寿命が短いN_2O^+においてはほぼ完全に基底状態だけのビームがCO^+と同程度得られることがわかり、これを用いてレーザー誘起電荷移行の実験を行った。Arとの衝突領域でN_2O^+をA^2Σ^+状態のv=1に励起すると、前記解離と電荷移行が競争することがわかった。 フローイングアフタ-グロー法による実験では、昨年に引き続き遷移金属原子の反応を詳細に調べた。T(a^3F,a^5F)、V(a^4F,a^6D)の反応では昨年行った含水素化合物NH_3、H_2S、C_2H_4との反応をさらに各種の炭化水素との反応に拡張するとともに、新たにCo原子とC_2H_6,C_2H_4,O_2との反応を調べた。これら中性原子の反応においても電子移動機構が重要であることを見い出すなど、多くの貴重な成果が得られた。
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[Publications] Takashi Imamura: "Collisional quenching of N_2O^+A‐X emission by He,Ne,Ar,Kr,N_2,CO,CO_2,and N_2O." Journal of Physical Cnemistry. 99(in press). (1995)
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[Publications] Shin‐ichi Nagaoka: "Site‐specific fragmentation following Si:2p core‐level photoexcitation of F_3SiCH_2Si(CH_3)_3 in the vapor phase." Journal of Chemical Physics. 102(in press). (1995)
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[Publications] Kenji Honma: "Kinetics of Ti(a^3F,a^5F)and v(a^4F,a^6F).depletion by NH_3 and H_2S." Journal of Physical Chemistry. 98. 13286-13293 (1994)
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[Publications] Takashi Imajo: "Collision‐induced transitions between two spin‐orbit states of CO^+A^2II(v=1) with He." Chemical Physics Letters. 223. 99-103 (1994)
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[Publications] David E.Clemmer: "Kinetics of excited state Ti(a^5F) depletion by NO,O_2,H_2O,and N_2." Journal of Physical Chemistry. 97. 11480-11488 (1993)
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[Publications] Koichiro Mitsuke: "Negative‐ion mass spectrometric study of ion‐pair formation in the vacuum ultraviolet.VII.SO_2→O^-+SO^=,O^-+S^++O." Organic Mass Spectrometry. 28. 335-339 (1993)