1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03403008
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Research Institution | INSTITUTE FOR HYDROSPHERIC-ATMOSPHERIC SCIENCES NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
半田 暢彦 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (00022559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱 健夫 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (30156385)
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Keywords | 溶存有機炭素 / 湿式酸化法 / 高温触媒酸化法 / 黒潮 / 東シナ海 / 大陸棚域 / 溶存脂質 / 炭素安定同位体比 |
Research Abstract |
西部北太平洋海域から採集した海水試料を用いて、溶存有機物の海域特性ならびに化学組成に付いて検討し、以下の結果を得た。 1)東シナ海大陸棚域および揚子江河口域、黒潮海域から海水試料を採集し、湿式酸化法(WOC)おび高温触媒酸化法(HTCO)により溶存有機炭素の測定を行った。酸化効率の点で、両者に差異があり、高温触媒酸化法が勝っており、高い溶存有機炭素(DOC)値を与えた。 2)DOC(WOC)/DOC(HTCO)は海域に依って異なる。東シナ海大陸棚域においては、この値がほぼ1に近く、黒潮域と揚子江河口域においては1よりかなり小さい値が測定された。この結果は、大陸棚域の海水中の溶存有機物に比べ、揚子江河口域や黒潮海域の溶存有機物は化学的に安定な物質から構成されていることを示唆している。溶存有機物の酸化特性が水塊の指標性物質となる可能性を示し、たいへん興味ある結果である。 3)今年度は、溶存有機物の中、特に、脂質に注目してキャラクタリゼーションを行った。脂質の中、炭化水素は炭素数13-35の飽和脂肪族炭化水素を主成分とし、若干の不飽和脂肪族炭化水素、アルコール、ケトン、脂肪酸および脂質からなりたっていることを見出した。ガスクロマトグラフ-燃焼-質量分析計による分析結果は、これらの脂質成分は、すべて植物プランクトンなどの、海洋生物に由来していることを示した。 4)溶存有機物、溶存脂質については、放射性炭素による年令の測定を実行中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Handa,N.et al.: "Vertical Fluxes of Organic Materials in the Northern North West Pacific and Breid Bay,Antarctica,with Special Reference in the Effect of Phytoplankton Bloom" Deep Ocean Circulation,Physical and Chemical Aspects. 221-233 (1993)
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[Publications] Ishiwatari,R.et al.: "Organic Composition of Sinking particles(JT-01)in Japan Trench as Revealed by Pyrolysis Gas Chromatography/Mass Spectrometry" Deep Ocean Circulation,Physical and Chemical Aspects. 235-252 (1993)
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[Publications] Fukuchi,M.et al.: "Temporal Variability of Particulate Flux in the Northern Bering Sea" Continental Shelf Research. 13. 693-704 (1993)
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[Publications] Hama,T.et al.: "^<13>C Tracer Methodology in Microbial Ecology with Special Reference to Primary Production Processes in Aquatic Environments" Advances in Microbial Ecology. 13. 39-83 (1993)
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[Publications] 半田 暢彦: "海も汚れていく「一億人の化学-どうする地球環境」" 大日本図書(日本化学会編), 216 (1993)