1993 Fiscal Year Annual Research Report
重合反応の制御を目的とする潜在性触媒の概念の確立と応用展開
Project/Area Number |
03403019
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 剛 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (40016738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 伸浩 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (30214852)
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Keywords | 潜在性触媒 / 外部刺激 / スルホン酸エステル / カチオン重合 / ブロックポリマー / グラフトポリマー / ホスホニウム塩 / ピリジニウム塩 |
Research Abstract |
従来の潜在性触媒は塩構造を有するため、架橋・成型時の金属塩等の混入が避けられず、吸水性、絶縁性などの種々の物性を低下させるが、種々の芳香族スルホン酸エステル、カルボン酸エステルがエポキシやビニルエーテルのカチオン重合における非イオン性の熱潜在性触媒として機能することを見いだした。いずれの場合も、対応する酸の酸性度が上昇するに従って活性は上昇するが、潜在性は低下することが明らかとなった。また、2級アルキル又はα-アルコキシアルキルエステルに良好な潜在性が見られることをみいだした。塩構造を有する潜在性触媒とは異なり、エステル系潜在性触媒はその対応する酸への熱分解により熱潜在性を発現することが明らかとなった。また、その過程で従来一段階で進行すると考えられてきたビニルエーテルの酸無水物によるアシル化反応が付加-脱離の2段階で進行することを明らかにした。更に、潜在性触媒による重合末端の規制の概念を、ブロックポリマー、グラフトポリマーの合成に適用した。ピリジニウム塩を熱潜在性触媒とするスチレンの重合によって得た末端ピリジニウムポリスチレンを開始剤とし、種々のカチオン重合性モノマーを重合することによってブロックポリマーが得られることを見いだした。また、ピレニルメチルホスホニウム塩構造を有するポリマーは紫外線照射により種々のカチオン重合性モノマーの重合を開始し、その際、脱離基となるホスフィンの高い求核性により重合末端が幹ポリマーに効果的に補足され、従来困難であるとされてきた重合末端の連結によるグラフトポリマーの合成が可能であることを見いだした。これまでの研究成果により、潜在性触媒の概念が確立されると共に、重合の各素過程である開始、停止、連鎖移動反応のいずれもが潜在性触媒の適切な分子設計によって制御可能であることを示し、重合反応の規制に潜在性触媒の概念が極めて重要であることを確立した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Keiichi Takuma: "Cationic Polymerization of Epoxide with Benzyl Phosphonium Salts as the Latent Thermal Initiator" Macromolecules. 26. 862-863 (1993)
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[Publications] Fumio Hamazu: "Cationic Polymerization with p-substituted Benzyl p-Hydroxyphenyl Methyl Sulfonium Salts:Effect of..." J.Polym.Sci.,Part A:Polym.Chem.31. 1023-1028 (1993)
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[Publications] Jaekyeung Park: "Photoinitiated Cationic Polymerization of 2-Isopropenyl-4-methylene-1,3-dioxolane by Benzyl..." J.Polym.Sci.,PartA:Polym.Chem.31. 1038-1035 (1993)
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[Publications] Toshikazu Takata: "Photoinitiated Cationic Polymerization of Epoxide with Phosphonium Salts as Novel Photolatent Initiators" Makromol.Chem.,Rapid Commun.14. 203-206 (1993)
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[Publications] Keiichi Takuma: "Latent Cationic Initiator:Photoinitiated polymerization of Epoxides and Vinyl Monomers with Phospho..." J.Photopolym.Sci.Technol.6. 67-74 (1993)
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[Publications] 遠藤 剛: "潜在性触媒の分子設計と応用" 機能材料. 13. 42-45 (1993)