1991 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質におけるシナプス長期増強/抑圧のスイッチング機構
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03404017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠 義郎 大阪大学, 医学部, 助手 (40212146)
佐藤 宏道 大阪大学, 医学部, 講師 (50154092)
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Keywords | 大脳 / シナプス / 長期増強 / 長期抑圧 / 可塑性 / カルシウム / 記憶 / 学習 |
Research Abstract |
研究の目的 発達脳視覚野においては、視覚求心路の連続電気刺激によってシナプス伝達効率の長期増強あるいは長期抑圧が起こることが知られている。このようなシナプス伝達効率の変化は発達脳の可塑性の基礎過程と考えられるが、本研究はそのシナプス伝達効率の変化が如何なるメカニズムで起きるのか、あるいは入力条件によっては長期増強ではなく長期抑圧が生じるのはなぜなのか、を明らかにするために計画された。 本年度の研究経過 1.幼若ラット(生後8ー16日)の大脳皮質視覚野から200μm程度の薄切切片標本を作製し、刺激電極を白質及びI層に設置した。この標本においてII/III層錐体ニュ-ロンの表面を覆う結合織を除去し顕微鏡下でパッチクランプ電極をニュ-ロン表面におくことが可能となった。その結果、wholeーcell記録により、白質及びI層に低頻度(10秒に1回)にテスト刺激を与え各テスト刺激に対するII/III層ニュ-ロンの興奮性後シナプス電流(EPSC)を膜電位固定下に記録することに成功した。 2.シナプス後細胞であるII/III層ニュ-ロンを40ー50mV程度脱分極させると同時に、白質にテスト刺激を与えるというペアリングを1Hzで30回行なうことによってシナプス反応の長期増強が起こることを見いだした。 3.白質テスト刺激とシナプス後細胞の過分極を組み合わせると長期抑圧が起きるかどうかは現在検討中である。 4.Ca^<2+>指示薬とディジタル画像顕微鏡を使用した細胞内Ca^<2+>動態の解析は来年度に行なう予定である。 本年度のまとめ 当研究の解析に適した標本の作製、刺激及び記録法の確立は当初の計画通りに進行し、研究は順調に推移している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hata,Y.et al.: "Horizontal interactions between visual cortical neurons studied by crossーcorrelation analysis in the cat." Journal of Physiology,London. 441. 593-614 (1991)
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[Publications] Tanabe,H.et al.: "Memory loss due to transient hypoperfusion in the medial temporal lobes including hippocampus." Acta Neurologica Scandinavia. 84. 22-27 (1991)
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[Publications] Yoshimura,Y.et al.: "Inputーspeciffic induction of longーterm depression in Ca^<2+>ーchelated visual cortex neurons." NeuroReport. 2. 393-396 (1991)
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[Publications] Funauchi,M.et al.: "Longーterm depression is induced in Ca^<2+>/calmodulin kinaseーinhibited neuros in visual cortex" NeuroReport. 3. (1992)