1992 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質におけるシナプス長期増強/抑圧のスイッチング機構
Project/Area Number |
03404017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 宏道 大阪大学, 医学部, 講師 (50154092)
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Keywords | 大脳 / シナプス / 長期増強 / 長期抑圧 / 可塑性 / カルシウム / 記憶 / 学習 |
Research Abstract |
研究の目的 発達脳視覚野においては、視覚求心路の連続電気刺激によってシナプス伝達効率の長期増強あるいは長期抑圧が起こることが知られている。このようなシナプス伝達効率の変化は発達脳の可塑性の基礎過程と考えられるが、本研究はそのシナプス伝達効率の変化が如何なるメカニズムで起きるのか、あるいは入力条件によっては長期増強ではなく長期抑圧が生じるのはなぜなのか、を明らかにするために計画された。 本年度の研究経過 1.幼若ラット(生後15-30日)の大脳皮質視覚野から400μm程度の薄切切片標本を作製し、Ca^<2+>螢光指示薬であるrhod-2を細胞内に負荷した。この標本を倒立型螢光顕微鏡のステージ上に置き、螢光強度の変化から神経細胞内Ca^<2+>の濃度変化を観測した。 2.VI層と白質の境界に置いた刺激電極から低頻度(10秒に1回)のテスト刺激を与えると、わずかなCa^<2+>増加が認められた。ところが、シナプス長期増強を起こすことが知られている5Hz、1分のテタヌス刺激を与えた場合は著明な増加を引き起こした。 3.テタヌス刺激によるCa^<2+>増加は刺激部位から皮質表面へ垂直なコラム状に起きること、及び皮質II/III層で最も顕著であることが判明した。 4.この増加は、NMDA受容体の拮抗薬の投与によって有意に抑えられた。一方、L型及びT型の電位依存性Ca^<2+>チャネル拮抗薬はほぼ無効であった。 5.長期抑圧を起こす刺激を白質に与えた時に皮質ニューロン内Ca^<2+>動態の解析は来年度に行う予定である。 本年度のまとめ 当研究の解析に適した標本の作製及びCa^<2+>計測法はほぼ当初の計画通りに確立し、さらにいくつかの新しい知見が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tsumoto,T.: "Long-term potentiation and long-term depression in the meocortex" Progress in Neurobiology. 39. 209-228 (1992)
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[Publications] Tamura,H.et al.: "Activity-dependint potenteation and depression of visual cortical responses to optic nerve stimulation in kittens" Journal of Neurophysiology. 68. 1603-1612 (1992)
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[Publications] Funauchi,M.et al.: "Long-term dipression is induces in Ca^<2+>/calmiodulin kinase-inhibited neurons in visual cortex" NeuroRepirt. 3. 173-176 (1992)
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[Publications] Hata,Y.et al.: "Development of local horizontal interactions in cat visual cortex studied by cuoss-correlation analyses" Journal of Neurophysiology. 69. 40-56 (1993)
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[Publications] Tsumoto,T.: "Long-term depression in cerebral cortex:A possible srbstrate of ¨forgetting¨that should not be forgotten" Neuroscience Research. (1993)