1992 Fiscal Year Annual Research Report
心筋Na^+チャネルへの作用様式と反応部位からみた抗不整脈薬の新しい分類法
Project/Area Number |
03404032
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
平岡 昌和 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80014281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 三郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10127136)
平野 裕司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00181181)
沢登 徹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00014217)
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Keywords | I群抗不整脈薬 / 使用依存性ブロック / チャネル状態親和性 / 荷電型と非荷電型薬物 / Na^+チャネル / Na^+チャネル抑制の動態 |
Research Abstract |
Na^+チャネルの状態親和性が類似すると考えられるI群薬の同じサブクラス薬の併用効果につき、多細胞標本を用い検討した。I_a・I_b群薬の併用で様々な反応がみられ、また静止・使用依存性ブロックで異なる抑制がみられ、チャネルと薬物の結合には複数以上の結合部位と過程の存在する可能性を示唆する成績を得た。パッチ・クランプ法を用いたNa^+チャネルの分析から、メキシレチン(1%非荷電型,99%荷電型)は使用依存性ブロック発現に2つの過程を示し、1%しか占めない非荷電型が有意の抑制作用を発揮した。この型はチャンネルの不活性化状態に親和性を持ち、早いブロック動態を示した。一方、99%を占める荷電型は活性化状態に親和性を持ち、遅いブロック動態を示すことを明らかにした。そして、単一チャネルの解析からも使用依存性ブロックを明らかにし、これにはコンダクタンスや開口時間は変えずに活性のない掃引(null sweap)を増やしてブロックすること、この際結合部位への到達は少なくとも細胞質側からではないことを明らかにした。同様に99%が荷電型を示すフレケナイドは一つの過程で使用依存性ブロックを生じ、それは活性化チャネルに親和性を持ち、遅いブロック動態を呈することが判明した。このように各薬物によりそれぞれ異なるブロック様式を示し、その際薬物の荷電・非荷電型の違いがその発現の一つの決定因子になることを明らかにした。また、フレケイニドは細胞内投与ではブロックを示さず、神経で提唱された「荷電型薬物で活性化状態親和性を示すものは、細胞質側よりチャネル孔内の結合部位に到達してブロックする」との考えは、心筋のNa^+チャネルにはあてはまらず、組織によるNa^+チャネルの特異性が示唆される結果を初めて明らかにした。その他、モルシジンのCa^<2+>チャネル・ブロックにNa^+チャネルの使用依存性ブロックと同じ様式で作用すること、植物アルカロイドのベラトリジンの心筋Na^+チャネル修飾作用などを明らかにして報告した。
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[Publications] Nitta J,A Sunami,F Furukawa,F Marumo,T Sawanobori,M Hiraoka: "Combined class I antearrhythmic agents have differential effects on tonic and use dependent block of maximum rate of depolarization of action potentials in quinea pit cardiac muscle." Cardiovasc.Res.26. 462-469 (1992)
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[Publications] Nitta J,A Sunami,F Marumo & M.Hiraoka: "States and sites of actions of flecainide on quinea-pig cardiac sodiumchannels." Eur.J.Pharmacol.214. 191-197 (1992)
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[Publications] Sunami A,T Sasano,A Matsrnaga,Z Fan,T Sawanobori & M Hiraoka: "Properties of veratridine-modified single Na^+ channels in quinea pig ventricular myocytes." Am.J.Physiol(Heart and Circ.Physiol.). 263. (1993)
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[Publications] 平岡 昌和,角南 明彦,新田 順一,沢登 徹,小野 正博: "抗不整脈薬の心筋イオン・チャンネルへの作用" 心臓.
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[Publications] 平岡 昌和: "細胞の電気生理学的パラメーターに対するClass I抗不整脈薬の作用比較" Progress in Medicine.