1992 Fiscal Year Annual Research Report
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03404033
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 啓也 東北大学, 医学部, 教授 (20046907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花水 啓 東北大学, 医学部附属病院, 医員
呉 繁夫 東北大学, 医学部, 助手 (70211191)
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Keywords | 非ケト-シス型高グリジン血症 / グリシン開裂酵素 / DNA診断 / 出生前診断 |
Research Abstract |
非ケト-シス型高グリシン血症(NKH)は新生児期から著明存中枢神経症状を示し数週以内に死亡するか、生存し得ても重度の脳障害を呈する神経難病である。本症はグリシン開裂酵素(GCS)の欠損に基づくが、本症の大部分はGCSを構成するP蛋白の欠損であることが吾々のこれまでの研究で明らかにされている。本症には現在有効存治療法がないので出生前診断に対する要望が強い。本症は北欧特にフィンランドに頻度が高い(12,000人に1人)ことが知られているので同地方のNKH患者の遺伝子解析を行なった結果、P蛋白遺伝子の1,691番目のヌクレオチドに点変異(G→T)が見出され、P蛋白の564番目のセリンがイソロイシンに置換していることが判明した(S564I変異)。正常並びに変異CDNAをCos細胞に導入して発現実験を行なった結果、この変異はNKHの病因であることが確認された。さらに検索を進め、フィンランドのNKHの70%がS564I変異を有することが判明した。次いで本症のハイリスク家系に於てDNA分析に上る出生前診断を試みた。両親共S564I。変異のヘテロ接合体であり、第1子がNKH患者でS564I変異のホモ接合体であることが判明している2家系について妊娠12週時に採取した胎盤絨毛を用いてDNA分析を行なった結果、第1の家系では絨毛細胞はS564I変異のホモ接合体であり胎児はNKHと診断された。家族の希望により妊娠中絶が行われ、流産胎児組機のDNA分析並びにGCS活性の測定を行なった結果、胎児はNKHに罹生しているこが確認された。第2の家系では胎児はS564Iのヘテロ患者であり、妊娠を継続し正常児が生れた。 以上の所見は、絨毛穿刺によりDNA分析を行うことによりNKHの出生前診断が可能であることを示すものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tada,K.,Kure,S.ex al.: "Hyperglycinemia.a life-Ahreatening disorder in the neonate" Early Human Development. 29. 75-81 (1992)
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[Publications] Kure,S.,Taday K.et al.: "Engymatic diagnosis of nonketotic hyperglycinemia with lpuphotblasts." J.Clin.Invest.90. 160-164 (1992)
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[Publications] Tada,K.: "Nonketotic hyperglycinemia.Molecular lisiou diagnozis and pathopysiology" J.Onheit.Metab.Dis.(1993)
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[Publications] 多田 啓也: "出生前診断" 日本臨床. 50. 1530-1535 (1992)
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[Publications] 多田 啓也: "新生児に患性発症する先天代謝異盤症" 日本新生児学会雑誌. 28. 568-583 (1992)