Research Abstract |
平成3年度に,ラット褐色細胞腫細胞(PC-12)をラットに接種し,動物モデルを作成したところ,細胞接種4週間目から,腫瘍の触知,尿中カテコールアミン排泄量の増加,血圧・脈拍の上昇が認められた。そこで今回は,この動物モデルを使用して,降圧剤(α庶断薬,Ca拮抗剤)を投与し,その降圧効果,カテコールアミン代謝への影響について検討した。体重300gのNEDH(New England Deaconness Hospital)ラット20頭を5頭ずつ4群に分類した。第1群は対照群とし,第2〜4群はPC-12接種群として,細胞を0.5×10^6個接種した。第3,4群は,接種4週間後に,それぞれプラゾシン(1mg/kg/Day),ニフェジピン(3mg/kg/Day)の経口投与を開始し,屠殺する8週間目まで行った。血圧については,8週間目に,収縮血圧が150〜170台に明らかに上昇したのに対し,第3,4群では,140〜150台と有意に上昇が仰制された。脈拍についても,同様に3,4群で上昇の仰制が認められた。尿中カテコールアミン排泄量は,2〜4群で4週間目から増加がみられ,明らかな有意差が認められなかった。腫瘍重量については,接種8週間目に屠殺してから測定したところ,10〜20gで,2〜4群間に有意差はみられなかった。しかし,腫瘍内カテコールアミン濃度は,第2群に比べ,3,4群で低い傾向が認められた。今後,電顕的に画像解析による腫瘍内カテコールアミン顆粒の数,体積について検討し,その原因について考察する予定である。また,平成5年度には,この動物モデルを使用して,ATP投与を行う計画である。
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