1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03404052
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
茂呂 周 日本大学, 歯学部, 教授 (50059531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 一郎 日本大学, 歯学部, 助手 (60147634)
岩瀬 孝志 日本大学, 歯学部, 講師 (80125046)
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Keywords | 分泌型1gA / Secretory Component / Joining Chain / Polymerase chain reaction / 1gM / 系統発生 / 個体発生 / 局所免疫機構 |
Research Abstract |
本年度の計画において分泌型IgAの構成々分であるSC、J鎖およびIgAのヒト胎児における発生を免疫組織化学的に、また肝におけるこれら3成分の発生についてPCR法を用いて検索した。 その結果、免疫組織化学的にSCは胎生16週頃小腸の粘膜上及細胞や肺の大型の気管支粘膜上皮細胞内に認められ、唾液腺では胎生19週頃、胆嚢上皮や肝臓内の胆管上皮細胞では胎生28週頃に出現した。しかし、肝細胞や脾臓では胎生期全体を通してSCの存在は認められなかった。丁鎖は胎生16週頃、肝臓および脾臓内にみられる大型のリンパ芽球様細胞の胞体内に認められ、螢光抗体二重染色でこのリンパ芽球様細胞の大部分が細胞質内の1gMが陽性であったことからpreーB cellと考えられた。一方、1gAの発生は胎生26週頃小腸、肺、唾液腺などの粘膜固有層内に少数の陽性細胞を認めたのみであった。以上の結果からヒト胎生期において分泌型1gAの活発な産生は起らないと推測された。 胎生期における造血の場は肝臓である。上述の結果から胎生期肝臓における丁鎖および1gMの発現を検索することはBーcellの個体発生に重要であると考え、PCR法を用いて検討した。その結果、丁鎖は胎生6週に認められたが、IgMは胎生7週から肝内に見られた。この結果は丁鎖の機能が免疫グロブリンのポリマ-化ではないという可能性を示すものであり、極めて重要な所見と考えている。また免疫組織化学的に丁鎖は肝で胎生16週目に認められたのに対し、PCR法では6週からであり、この相異は用いた方法の感度の相異を示すものと考えている。現在、PCR法による分泌型1gA構成々分の発現を種々の胎児臓器に拡大して追求中である。
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