1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯のエナメル質への微量元素濃縮のメカニズムとその進化
Project/Area Number |
03404053
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
青木 春美 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (50150925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 睦 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (30225916)
田谷 雄二 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (30197587)
小川 正明 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (40095097)
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Keywords | 歯 / エナメル質 / エナメロイド / 微量元素 / フッ素 / 鉄 / 系統発生 / 進化 |
Research Abstract |
以前のelectron microprobe(EPMA)による定量分析の結果から、真骨魚類のエナメロイド中のフッ素と鉄の濃度は、歯や形態や食性、また、それらが棲息する環境水などによるのではなく、魚の系統進化と関連が深いことがわかった。これらの元素が形成期エナメロイドへ濃縮することの系統発生的な意義を探る目的で、下等真骨魚類のエナメロイドについて、EPMAを用いて定量分析を行った。その結果、進化の程度の低いものから並べると、【.encircled1.】Osteoglossiformesではフッ素、鉄とも低濃度、【.encircled2.】Elopiformesではフッ素は中濃度で鉄は高濃度、【.encircled3.】Anguilliformesではフッ素、鉄とも高濃度、【.encircled4.】Salmoniformsではフッ素は中濃度で鉄は高濃度、【.encircled5.】Stomiiformesではフッ素は中濃度と高濃度で鉄は高濃度であった。これらの結果と以前の研究結果とから、まず、フッ素と鉄の濃縮のメカニズムは互いに独立していることがわかる。さらに、魚の進化の過程では、鉄の濃縮はフッ素の濃縮より早く始まるが、濃縮能力の消失はフッ素と同時期かそれより遅いことがわかった。 微小管の重合を阻害し細胞外基質や酵素などの細胞内輸送や分泌を抑制するビンクリスチンをラットに一回注射して、形成期エナメル質に現われる変化を観察した。その結果、成熟期の段階によってビンクリスチンに対するエナメル芽細胞の感受性が異なることがわかった。このことから、成熟期の各段階にあるエナメル芽細胞の行う役割には違いがあることが示唆された。
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