1992 Fiscal Year Annual Research Report
口唇・口蓋裂発生抑制図子に関する研究-自然発生口唇・口蓋裂マウスによる本症発生抑制図子の追及
Project/Area Number |
03404059
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
河合 幹 愛知学院大学, 歯学部口腔外科学第二講座, 教授 (50064788)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 いつ子 藤田学園保健衛生大学, 医学部
深野 英夫 愛知学院大学, 歯学部口腔外科学第二講座, 助手
夏目 長門 愛知学院大学, 歯学部口腔外科学第二講座, 講師 (90183532)
服部 孝範 愛知学院大学, 歯学部口腔外科学第二講座, 助教授 (70064813)
|
Keywords | 口唇裂 / 口蓋裂 / 予防 / 全胎仔培養 / マイクロマンプレーション / A / J系マウス / 神経堤細胞 |
Research Abstract |
現在までの動物実験より、口唇裂を引き起こす原因として、顔面部間葉の低形成、それに伴う上皮間葉相互作用に基づく上皮活性の低下、さらに上皮癒合能の低下といった一連のメカニズムが存在し、それにより顔面隆起の低形成、愈合不全が説明され、口唇裂の披裂形態に様々なバリエーションが存在することが明かとなってきた。このメカニズムにおいて胚子胎生初期に移動を開始する神経堤細胞は重要な役割を演じ、口唇裂発生は神経堤細胞の移動障害または分化能の低下に大きく関与する。現在、我々はこの神経堤細胞の移動経路を追跡し、分化能を評価する実験を行ない、口唇口蓋裂の発生を著しく抑制するエストラジオールについて、神経堤細胞との関与、胎生期におけるリセプターの有無、及びその局在状態の検索を行っている。 口唇、口蓋裂発生抑制図子のひとつであるエストラジオールは、我々の全胎仔培養法にて直接または関接的に神経堤細胞に働いていることが示唆されている。そこで顔面、口腔と同じ神経堤細胞由来である、心、大血管及び胸腺の異常発現に対するエストラジオールの影響についても検討を行った。現在のところ、胸腺の異常発現率も低下することが確認できている。 自然発生口唇、口蓋裂モデル動物を用いた受精卵移植(一卵性双生児)の作成とそれらの口唇、口蓋裂発生の一致率についての研究は、現在排卵誘発剤投与における胎児の影響について検索した結果、A/J系マウス投与した群と投与しない群とでは、口唇、口蓋裂の影響は、差がないと孝えられた。また初期胚培養ではC57BL16マウスがA/J系マウスに比べて、培養成績が良い結果が得られている、受精卵移植(一卵性双生児)も現在平行して行なっているが、良い結果が得られていない。
|
-
[Publications] 三浦 茂樹,夏目 長門,堀内 隆作,中村 友保,加納 欣優,藤原 浩,古川 博雄,稲垣 鐘司,生川 哲也,河合 幹: "口唇.口蓋裂発生に関する実験的研究第7報:A/J系マウスにおける自然発現口唇口蓋裂に対するestadiolの示す抑制作用について" 日本口蓋裂学会雑誌. 15(2). 122-131 (1991)
-
[Publications] 中村 友保: "A/J系マウス全胚培養法を用いたエストラジオールの口蓋裂発生抑制作用の検討" 日本口腔外科学会雑誌. 37(2). 351-364 (1991)
-
[Publications] 帯刀 禮子,大谷 浩,田中 修: "マウス初期胚の培養と染色体異常の解析" 組織培養. 18(3). 82-86 (1992)
-
[Publications] 堀内 隆作: "自然発生口唇裂口蓋裂マウス(CL/Fr.A/J系)の口唇裂発生に関する形態学的研究" 日本口蓋裂学会雑誌. 17(4). 304-332 (1992)
-
[Publications] 角田 幸生: "哺乳動物卵子のマイクロマニプレーション特に卵性双子の作出について" 畜産試験造年報. 24. 109-120 (1986)
-
[Publications] 河合 幹,夏目 長門: "口唇、口蓋裂発生機序に関する研究の最近の進歩" 朝日出版社, 202 (1991)