1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03404070
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute (NCVCRI) |
Principal Investigator |
松尾 壽之 国立循環器病センター, 研究所, 所長 (50028685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南野 直人 国立循環器病センター, 研究所・薬理部, 室長 (50124839)
宮本 薫 国立循環器病センター, 研究所・バイオサイエンス部, 室長 (30125877)
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Keywords | ナトリウム利尿ペプチド / 受容体 / ANP / BNP / CNP / 発現調節 / 血管平滑筋細胞 / 増殖抑制 |
Research Abstract |
最終年度に当たる平成5年度には、ナトリウム利尿ペプチドの生理的変動、CNPの生理的機能の解析、受容体アンタゴノストの検討を行った。 1.絶水及び食塩負荷ラットの心房、心室、脳、血中におけるANP、BNP、CNPのペプチド濃度、mRNA量をRIA及びノーザンブロット法にて測定した。その結果、心臓や血中のBNP濃度は遺伝子発現レベルで主に調節され、絶水条件では極端にmRNA量、ペプチド量が減少すること、ANPの血中濃度は分泌調節により主に規定されていることが明らかとなった。心不全患者等の結果を合わせると、BNPはANPの作用、変化を補助かつ増強するように変動するものと結論された。 2.CNPは脳神経系で機能する神経ペプチドと考えられてきたが、ラットの末梢組織におけるペプチド及びmRNAの分布の検討より、脳内の1/10以下ではあるが末梢組織でCNPが幅広く産生されていることが確認された。また、種々の培養細胞系を調べた結果、TPA刺激した単球性白血病細胞株(THP-1)がCNPを産生し、これがTPN刺激によるマクロファージ様細胞への分化と一致することを示した。これらの事実は動脈硬化単や血管損傷部位など血管平滑筋細胞がCNPに特異的なGC-B受容体を発現する所でマクロファージがCNPを産生すれば、病的な血管平滑筋細胞の増殖を抑制する可能性を示唆するものである。実際にラット頸動脈の片側を傷害しその後CNPを連続投与すると、CNP投与群で血管壁肥厚が抑制されることも明らかにした。以上の結果、CNPは末梢組織でも血管を中心に機能しており、当初予想されて以上に幅広い機能を有する可能性が示唆された。 3.アンタゴニストであるHS-142-1の選択性を受容体遺伝子発現系、培養細胞系を用いて検討した結果、HS-142-1はGC-A、GC-B受容体に共通かつ特異的で、GC-C受容体には機能しないことを確認した。
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