1991 Fiscal Year Annual Research Report
MPF(分裂期促進因子)による細胞分裂期制御の分子機構
Project/Area Number |
03405004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸本 健雄 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (00124222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大隈 圭太 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (20221822)
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Keywords | MPF / cdc2・サイクリンB複合体 / M期 / MAP / MTOC / 核移行 / 分裂装置 / suc1遺伝子 |
Research Abstract |
MPFは真核細胞に共通のM期誘起蛋白質で、分裂酵母cdc2遺伝子産物ホモログとサイクリンBの複合体である。本研究の目的はこのMPFがM期を制御する機構の解明にあり、本年度の成果は以下の通りである。 1.ヒトデ未成熟卵中にあるMPF前駆体はリン酸化型cdc2蛋白質とサイクリンBとの複合体で、細胞質のみに存在した。卵成熟開始に際し、まずこの複合体内でcdc2蛋白質のTyr残基が脱リン酸化されてMPFは活性型となり、その直後に一部が核内へ移行して核膜を崩壊させ染色体に集積した。その後サイクリンBの分解とcdc2蛋白質の再リン酸化がおこってMPFが不活化され、第一減数分裂が終了した。MPFの機能の発現には、サイクリンの合成とそれに伴なうcdc2蛋白質との複合体形成、複合体内でのcdc2蛋白質の分子修飾(リン酸化・脱リン酸化)に加えて、細胞内局在の制御が必要であるといえる。 2.核移行の一方で、MPFは星状体や分裂装置に集積した。cdc2・サイクリンB複合体はMAPs(徴小管結合蛋白質)を介して徴小管に結合し、しかもそれらをリン酸化しうると判明した。他方でMPFはMAPキナ-ゼを活性化し、あるいはMTOCに作用して徴小管形成活性を高めた。これらのMPFの効果があいまって、徴小管ネットワ-クが分裂期紡錘体の形成に向けて再編成されると考られめる。 3.分裂酵母suc1遺伝子産物をリガンドにもつアフィニティカラムで溶出液にエチレングリコ-ルを含む高塩溶液を用いることにより、suc1産物を含まないcdc2・サイクリンB複合体を精製する方法を開発した。他方、アフリカツメガエル卵suc1ホモログのcDNAをクロン化した。suc1産物は遺伝子学的にはM期終了に必須とされていながらその機能の分子機構は不明なので、ここで得られた標品を用いて現在解析中である。
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[Publications] Gotoh,Y.: "Xenopus M phase MAP Kinase:isolation of its cDNA and activation by MPF." EMBO J.10. 2661-2668 (1991)
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[Publications] Hisanaga,S.: "Phosphorylation of neurofilament H subunit at the tail domain by cdc2 Kinase dissociates the association to microtubules." J.Biol.Chem.266. 21798-21803 (1991)
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[Publications] OoKata,K: "Relcation and distinct subcellular localization of p34 cdc2/cyclin B complex at meiosis reinitiation in starfish oocytes." EMBO J.11. 5 (1992)
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[Publications] Ohta,K.: "Increase of microtubule nucleating activity of centrosome in cellーfree extracts from Xenopus eggs and its regulation by protein phosphorylation." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.89. (1992)
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[Publications] 立花 和則: "cdc2キナ-ゼによる細胞周期の制御" 実験医学. 9. 1640-1648 (1991)
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[Publications] 岸本 健雄: "MPF・cdc2キナ-ゼ・サイクリンーM期の制御と細胞周期の制御ー" Annual Review 細胞生物学1991. 1. 217-235 (1991)
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[Publications] Kishimoto,T.: "Control of Mーphase by MPF/cyclinーdependent cdc2 kinase.in“Biology of germ linesーin animals and manー"(eds.H.Mohri,M.Takahashi and C.Tachi)" 学会出版センタ-, (1992)
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[Publications] 岸本 健雄: "卵成卵とcdc2キナ-ゼ(新生化学実験講座(日本生化学会編)第14巻「発生、分化および老化」)" 東京化学同人, (1992)