1991 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う脳内報酬系の機能変化に関する生理心理学的研究
Project/Area Number |
03451013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩崎 庸男 筑波大学, 心理学系, 教授 (70092509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 大一郎 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (80128389)
古川 聡 筑波大学, 心理学系, 助手 (70229110)
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Keywords | 加齢 / 脳内報酬系 / 脳内自己刺激 / マイクロ・ダイアリシス / 脳内伝達物質 / メタンフェタミン / ラット |
Research Abstract |
本研究は、脳内報酬系の加齢に伴う機能変化を、その物質的な背景とともに捉えようとすることを目的としている。そのため、ラットを用いて脳内自己刺激行動を訓練し、その後この自己刺激行動時に脳内に挿入した微小透析用カニュ-レを介して脳内の伝達物質であるカテコ-ル・アミン(ドパミン、ノルアドレナリン)とその代謝産物を回収し、定量する。本年度は初年度であり、脳内物質微量分析(マイクロダイアリシス)システムが本補助金によって導入されたので、まず若齢ラットを用いて脳内のドパミンとその代謝産物の微量定量の予備検討を行った。この段階で、脳内に挿入する透析用プロ-ブの性能が非常に重要であることがわかったので、種々の改良を重ねて、信頼できるプロ-ブを作成した。その後、測定の信頼性を確かめるために、脳内報酬系を賦活する薬物であるメタンフェタミン(覚醒剤)をラット腹腔内注射して、脳内とくに線条体でのドパミン等を微量定量した。この際、ダイアリシスのためのプロ-ブを介する人工脳脊髄液の灌流は、毎分2μlに設定し灌流を開始した3時間後から10分ごとに透析サンプル(20μl)を100分間にわたり回収し、このサンプルを高速液体クロマトグラフを用いたドパミン等の定量に供した。その結果、線条体のドパミン量はメタンフェタミン投与によって、コントロ-ルの5倍以上に増加することがわかった。現在、ラットの脳内(内側前脳束)に刺激電極を植え込み、この電極を介してラットが自己刺激を行っている時の脳内ドパミン等の微量定量に着手している。さらにこれを老齢ラットを用いて行い、若齢ラットと老齢ラットの自己刺激行動と脳内ドパミン等を比較して、加齢に伴う脳内報酬系の機能変化を明らかにする予定である。
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[Publications] Nakahara,D.: "Differential effect selfーstimulation on dopamine release and metabolism in the rat medial frontex,nucleus accumbens and striatum studied by in vivo microdialysis." Brain Research. (1992)