1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03451026
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
皆川 勇一 専修大学, 文学部, 教授 (90009019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深沢 建次 埼玉大学, 教養学部, 教授 (50165247)
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Keywords | 地域開発 / 土地利用 / 農業経営 / 家族 / 職業転換 / 公害 / 環境問題 |
Research Abstract |
1.昨年度にひきつづき、房総内湾および鹿島地域で、開発にともない職業転換を余儀なくされた農漁民500世帯に関する戸別面接調査の補足集計および自由回答欄の内容整理を行なった。またこれらの分析をさらに深めるため、現地において関係者からの聞き取り補足調査を実施した。 2.上記の作業と並行して、工場進出が地元農業世帯の経営および生活に及ぼした影響に関する比較を行なうために、本年度は山形県最上郡真室川町において、工場の導入が地元社会に及ぼした影響を、人口動向、出稼ぎ者の増減、および、個別農家における兼業化の進展状況、さらには若干の進出企業における地元民雇用の実態に関する聞き取り調査などから検討した。 3.以上の分析はなお続行中であるが、中間報告として若干の解明された事実をあげるならば、次の通りである。房総旧湾の市原・君津地区では昭和30年代後半に相次いで企業導入のための海岸の埋立てが行なわれ、その結果生じた漁業権放棄という生活基盤の変動によって大規模な職業転換ならびに生活変化を余儀なくされた。今回の調査は、その後の20数年間に彼等の生活や環境条件がどの様に変容したかを明らかにすることに焦点を合わせて計画されたが、今や土地区画整理事業により、残された田畑もほとんど失なう運命に直面している。この第2の生活転換期の到来が、とくに農業への愛着の強い高年化した旧漁民層にかなりの不安と苦悩をひき起している。開発進行途上でクローズ・アップされた公害・環境問題に代り、自らの生活転換が彼等にとっての重大問題となっている。鹿島でも同様な事態が進行しているが、最初から市街化の進行が予定されていた大野原、知手南部よりも、農業団地として計画された横瀬のばあい問題は一層深刻といえる。以上の二地域と比べ、開発後進地域である真室川での工場導入は地元社会に好影響を斉して来た様だ。
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