1993 Fiscal Year Annual Research Report
教員養成教育における発声・発話等、音声技能の教授・学習システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
03451037
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
伊藤 勝志 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 教授 (70002558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 正吉 北海道教育大学, 函館校, 助教授 (80107242)
上谷 宣正 北海道教育大学, 函館校, 助教授 (20113657)
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Keywords | 大学生の発声能力 / 最大発声持続時間 / 周波数移動平均変動率 / 肺活量と発声持続時間との関連 / ピッチ周波数 |
Research Abstract |
本研究の目的は、発声・発話学習に必要な基礎資料の収集である。この目的を達成するため、昨年度に続いて学生の発声機能を確かめ、概要を発表することが今年度の目的であった。研究成果の概要は以下の通りである。 1. 最大発声持続時間は男子27.0秒、女子が19.1秒であった。一般的な値と比較してそれほど大きな違いはないが、対象者の中には持続時間の極端に短い例もあるので、今後は事例的な研究も必要であろう。 2. 話声位におけるピッチ周波数は男子130Hz、女子260Hzである。これを五線譜上での高さで表すと男子がc、女子が丁度その一オクターブ上のc'であり、ほぼこれまでの報告と一致している。 3. 発声時における声の高さの揺れであるピッチ周波数移動平均変動率は男子1.7%、女子0.5%であった。共に正常と言われる範囲を越えているが、SG-07による検査方法との関連でさらに検討すべき点が多く残っている。なお、声帯結節等による音声障害の場合は明かに変動率が高くなることが確認されたので、今後はこのような症例をも合わせて検討したい。 4. 肺活量と持続時間との間にはある程度の相関が認められた(男子0.40、女子0.38)。 5. 肺活量と持続時間よりPQ(Phonetic Quotince)を求め、呼気の使用状況を確認した結果、呼気を無駄に使用している状況が読み取れた。なお、PQと最大発声持続時間との間にはr=-0.79と言う大きな相関が確認された。 なお、(1) 音声の聴覚的印象と上記の如き物理的特徴との関連性を明確にすること。(2) 音楽における声楽発声の経験者と未経験者との比較検討。(3) 発声訓練を繰り返すことによる学習効果の検討。 などが今後の研究課題として残されている。
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[Publications] 伊藤 勝志: "発声・発話学習に関する基礎的研究 V -- 大学生の発声能力について --" 人文論究. 56. 85-104 (1993)
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[Publications] 伊藤 勝志: "大学生の音声機能に見られる特徴について" 日本教育工学会研究報告集. 1993. 101-104 (1993)
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[Publications] 伊藤 勝志: "発声・発話学習に関する基礎的研究 VI" 教育情報科学. 22. 31-39 (1994)